日本人24人を含む2977人が亡くなった2001年9月の米同時多発テロから23年を迎えた11日、各地で追悼式典が開かれた。旅客機2機が突っ込んだ東部ニューヨークの世界貿易センター(WTC)ビルの跡地「グラウンド・ゼロ」での式典には、民主党のバイデン大統領やハリス副大統領のほか、共和党のトランプ前大統領も出席した。
グラウンド・ゼロには犠牲者の名前入りのTシャツを着たり、遺影を抱えたりした遺族らが集まった。旅客機がWTCに突っ込んだ時刻などに合わせて黙とうがささげられ、壇上では遺族の代表が犠牲者の名前を一人一人読み上げた。
11月の米大統領選に向けた10日の候補者討論会から一夜明け、ハリス、トランプ両氏は再び顔を合わせ、握手を交わした。両者の間にはバイデン氏とブルームバーグ元ニューヨーク市長が立ち、トランプ氏の隣には共和党副大統領候補のバンス上院議員がいた。
バイデン、ハリス両氏はそれぞれ発表した声明で、犠牲者に哀悼の意を示し、「テロリストのネットワークがどこにあろうと破壊を続ける」と強調。トランプ氏も自身のソーシャルメディアに「我々は決して忘れない!」と投稿した。
式典に出席した遺族からは、悲しみは今も癒えないとの声が聞かれた。
ヘザー・ダリーさん(51)は、結婚式を挙げた約6週間後に母親のルス・ラピンさん(当時53歳)を亡くした。ラピンさんは南棟77階の民間金融機関に勤務していた。ハイジャックされた旅客機のうち1機は南棟の77~85階の部分に突っ込んだ。
3児の母となったダリーさんは「生きていれば母に子育ての秘訣(ひけつ)を聞きたかった。でも、それは永遠にかなわない」と話す。ほおには涙が伝っていた。
テロを受け、米国は英国などとともに、国際テロ組織アルカイダの指導者だったウサマ・ビンラディン容疑者(米軍が11年に殺害)をかくまったアフガニスタンに侵攻。当時のタリバン政権は崩壊したものの、戦闘は泥沼化した。約20年に及ぶ「米史上最長の戦争」となったアフガン戦争は21年8月30日の駐留米軍の完全撤収によって終結したが、アフガンでは直前にタリバンが復権した。【ニューヨーク中村聡也】
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