11月の米大統領選に向け、テレビ討論会が10日夜(日本時間11日午前)、行われた。民主党のカマラ・ハリス副大統領と共和党のドナルド・トランプ前大統領が初めて直接対決したが、両候補の発言のほか注目されたのが、間違った発言を何度もその場で指摘した2人の司会者の「ファクトチェック」ぶりだった。
討論会でトランプ前大統領は「不法移民がペットを食べた」など、事実無根の発言を繰り返した。そのたびに2人の司会者は表情を変えず、冷静に誤りを指摘した。終了後、X(ツイッター)では「きちんとファクトチェックしていた」「司会者の姿勢が素晴らしい」などの書き込みが見られた。
情報の真偽をきちんと確認するのが「ファクトチェック」だが、その意味や役割をどのくらいの人が認識しているのか。
総務省の2023年度情報通信白書によると、ファクトチェックの認知度について主要6カ国で調査したところ、「知っている」(「内容や意味を具体的に知っている」、「なんとなく内容や意味を知っている」及び「言葉は聞いたことがある」の合計)と回答した割合は、日本が46・5%で最も低かった。米国や韓国は「知っている」が95%以上で、英国も9割近かった。
NTTドコモモバイル社会研究所が23年11月に15~79歳の全国の男女を対象にした調査によると、Xで災害情報を発信・拡散したことがあると回答した人(857人)のうち、451人(52・6%)が「ファクトチェック」という言葉について「聞いたことはあるが、意味は分からない」「聞いたことはない」と回答した。
また、災害情報の真偽について見分ける「自信がある」とした回答者(331人)に対して、「ファクトチェック」という言葉に対する理解を調べたところ、116人(35%)が「聞いたことはあるが、意味は分からない」「聞いたことはない」としている。
日本では「ファクトチェック」という言葉の意味や認識があまり進んでいないようだ。【秋丸生帆】
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