米国で10日夜(日本時間11日午前)に開かれる大統領選の討論会では、民主党のカマラ・ハリス副大統領(59)が、初めて直接対決する共和党のドナルド・トランプ前大統領(78)の変則的なスタイルにどう対応するかが焦点の一つだ。前回2020年の副大統領候補討論会で繰り出した「決めゼリフ」が飛び出すかも注目される。
「副大統領、(今は)私が、話しているんです(I′m speaking)」。ハリス氏は20年10月の討論会で、自身の発言中に反論をかぶせてきた共和党のマイク・ペンス副大統領(当時)を笑顔でこうたしなめた。
なおも発言を続けるペンス氏を笑顔で眺めた後、しばらくして「差し支えなければ、私にまず発言させてもらえませんか。そうすれば、対話ができます。いいですか?」と制した。ペンス氏は「どうぞ」と発言を譲った。この場面は、討論のルールに沿って冷静に対応したハリス氏に好印象を残した。
同じセリフは今年8月の選挙集会でも飛び出した。パレスチナ自治区ガザ地区に侵攻するイスラエルへの支援に抗議する声が聴衆から上がった時、笑顔で「民主主義では、あらゆる意見が重要だ。しかし、今は私が話しているんです」と強調した。
なおも抗議が続くと、真顔になって「ドナルド・トランプを勝たせたいなら、そう言えばいい。そうでないなら、今は私が話しているんです」と強く言い放ち、聴衆から喝采を浴びた。
10日の討論会では、相手の発言中はマイクが消音されることになった。ハリス陣営はトランプ氏の不規則発言を視聴者に聞こえやすくするため、常時オンにするよう求めていたが、受け入れられなかった。ハリス氏の「決めゼリフ」も出す機会が限られそうだが、トランプ氏が発言を妨害すれば、飛び出す可能性もある。【ワシントン秋山信一】
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