拘束され、捜査員とみられる男性らにワゴン車に連れ込まれる日本人男性=ベラルーシ国営放送の特別番組から

 ベラルーシの国営テレビは5日、ベラルーシで「諜報(ちょうほう)員」として拘束されたとされる日本人男性についての特別番組を放送した。男性はベラルーシの情報機関・国家保安委員会(KGB)にスパイ活動の容疑で拘束されたとし、「動機」などを詳報した。ただ、番組はKGBなどの管理下で制作されたとみられ、報じられた事実関係が真実かは不明だ。

 番組では、男性が、KGB捜査員とみられるマスク姿の複数の男性らにワゴン車へと押し込められる場面や、手錠を後ろ手にかけられて歩かされるなどの映像が流された。男性は日本の「法律家」として紹介され、2018年にベラルーシ南東部ゴメリ州に移住し、ウクライナにも訪問歴があったと説明された。

 番組によると、男性は、移住以来の6年間について細かくノートに書きとめ、ウクライナ国境に近い都市で道路や橋、駅、空港などを詳細に撮影したとされる。番組のナレーターは「写真は米国やウクライナが攻撃のために使う可能性がある。後悔している」とする男性の言葉を伝えた。

 男性はロシアとウクライナの戦況に関心があったといい、調べに対して「日本の国家公安委員会に写真を渡そうと考え、ウクライナ国境でたくさん写真を撮った」とカメラの前で供述した。

 男性はゴメリ国立大学で日本語の教師の職を得たが、この仕事は「隠れみの」で、それとは別に無制限に使える金があったという。また、スパイ活動に関わっているとされる、男性とは別の日本人男性の存在も「管理者」として提示され、2人の間で交わされた無料通信アプリ「ライン」での日本語のやりとりも紹介された。

 男性は番組内で「私の行動はベラルーシの安全を脅かしたと思う」と謝罪。番組の最後にはKGBの捜査幹部が登場し「男性は積極的に捜査に協力し、違法行為について詳細に証言している」と話した。

 番組は「東京から来たサムライの失敗」のタイトルで約16分間。男性の発言も含め、全てロシア語で放送された。【モスクワ山衛守剛】

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