【ニューヨーク=平田雄介】トランプ前米大統領(共和党)の不倫口止め料を巡る会計不正処理事件は22日、東部ニューヨーク州地裁で審理が本格化した。検察側は2016年大統領選前に口止め料を支払い醜聞を隠したのは「有権者を欺く行為だ」と訴えた。弁護側は「不正ではない」と反論し、全面対決した。
検察側は冒頭陳述で、口止め料の支払いについて、トランプ氏が「醜聞の流布を封じるために弁護士に指示して立て替えさせた」と指摘。当選後に費用を弁済した際、一族企業の帳簿に「不倫口止め料と書くことができず、法務費用と偽りを記載した」と主張した。
また、大統領選前に醜聞を隠すことで、候補者の資質を見極める情報を必要としていた有権者を「欺いた」と指摘。「選挙不正だ」と訴えたが、具体的に何の法律に違反するのかは不明だ。
弁護側は、自らの当選への悪影響を防ぐための口止め料の支払いは「何ら不正ではない。民主主義と呼ばれるものだ」と反論。また、支払いは法務費用で「口止め料の弁済ではない」と主張した。ブラッグ地方検事(民主党)率いる検察側が「邪悪な考えで犯罪であるかのようにみせている」と訴え、「トランプ氏は犯罪に関与していない」とした。
検察側は今回、通常は禁錮1年未満の軽犯罪として扱われる業務記録改竄(かいざん)事件を、禁錮4年以下の重罪に問おうとしている。トランプ氏に「別の犯罪」を隠すなどの意図があったと示す必要があるが、「別の犯罪」が何なのかは冒頭陳述でも明らかにされなかった。
11月の大統領選で返り咲きを狙うトランプ氏は退廷後、裁判で選挙活動が制約を受けたとし「不公平だ」と訴えた。
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