記者会見するイスラエルのネタニヤフ首相=エルサレムで2024年9月2日午後8時41分、松岡大地撮影

 パレスチナ自治区ガザ地区の停戦交渉を巡り、イスラエルのネタニヤフ首相は2日の記者会見で、ガザとエジプトの境界地帯における軍の駐留を継続する必要があると訴えた。イスラム組織ハマスに拘束されていた人質6人の死亡を受けて、国内では早期の交渉妥結を求める大規模なデモが連日行われているが、争点の一つである境界地帯からの撤退には応じない考えを改めて示した。

 ネタニヤフ氏は、境界地帯は「ハマスにとって再武装のためのパイプラインだ」と主張し、2005年に軍がガザから撤退した後、武器が密輸されるようになったと指摘。ハマスの態勢立て直しを防ぐために駐留を続けると強調した。

 イスラエルは人質だった6人について、いずれも発見の直前にハマスに殺害されたとみている。ハマスの報道官は2日、人質の取り扱いについて新たな指示を出していたと主張。詳細は不明だが、6月にガザ地区中部ヌセイラットでイスラエルが4人の救出作戦を行った後に出したとしており、報道官は「軍事圧力での人質解放に固執すれば、人質は遺体で帰ることになる」とけん制した。

 ハマスはイスラエル軍の完全撤退を求め、交渉は停滞している。米紙ワシントン・ポストは1日、米国が仲介国のカタールなどと協議した上で、数週間以内に「最終提案」を出す予定だと報じた。イスラエルとハマスが受け入れない場合、米国が主導する現在の交渉は、打ち切られる可能性があるという。【エルサレム松岡大地】

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