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アメリカの大統領選挙に向けた民主党大会が最終日を迎えました。この日、カマラ・ハリス氏(59)が演説を行い、大変な盛り上がりとなりました。そして、こうした光景をネットで発信し続けていたのは、民主党が特別に取材パスを出した200人以上のインフルエンサーたちでした。当選のカギを握るのは“Z世代”です。

■インフルエンサー200人以上が集結

ハリス氏が現れると割れんばかりの大歓声。民主党大会の大トリ、間違いなくこの4日間で最大の盛り上がりです。歓声は約3分間、鳴りやみませんでした。

演説で強調したのは「国民全ての大統領になる」との決意です。

民主党大統領候補 カマラ・ハリス氏
「私は国民を代表して政党や人種、性別、あなたの祖母の母国語を問わず、全てのアメリカ人を代表して、地球上の最も偉大な国家だからこそ許された物語を秘める人たちを代表して、アメリカ合衆国大統領の候補指名を受諾します。私たちアメリカは後戻りはしません」

出馬を疑問視する声もありましたが、完全に巻き返した形です。今回、会場内にその原動力となっている人々がいます。一見、よく目にするインタビュー取材の光景ですが、手にしているのはスマートフォン。自撮りの人もいます。彼らはSNSで情報を発信する、インフルエンサー。今回、史上初めて民主党がインフルエンサーたちを招待し、200人以上が集まったといいます。

招待された人のなかには100万人以上のフォロワーを抱えるインフルエンサーも多くいます。

総フォロワー数172万 マット・フレンドさん(26)
「本業はコメディアンですが、ここからコンテンツを配信しています。ネタにしている人たちが大勢集まってるので楽しいです」

一方、民主党側の受け入れ態勢。会場全体を一望できるところにインフルエンサー専用の特別席を用意し、取材用スペースもインフルエンサーだけが使える時間を設けました。狙いはずばり、彼らが持つZ世代への発信力です。

この大統領選では、Z世代とその上のミレニアル世代、合わせると有権者の半分近くになると見込まれているため、勝利のカギといっても過言ではありません。

総フォロワー数1300万 カルロス・エスピナさん(26)
「多くの人がソーシャルメディアから情報を得る時代なので、誰の意見も大切です。党大会を従来のニュースで見ていない人たちに、私たちが発信することは重要だと思います」

党大会では、インフルエンサーによる演説も行われました。

総フォロワー数114万 オリビア・ジュリアナさん(21)
「投票で声が届くのです。だからZ世代の皆さん、民主主義の席につき、11月ハリスとウォルズに私たちの1票を投じましょう」

4年前、トランプ政権への危機感からSNSで発信を始めたというジュリアナさん。党大会に来たことで、その効果を肌で感じているといいます。

オリビア・ジュリアナさん
「党大会で会った男性は、15歳から私のTikTokをフォローしてて、今は18歳です。ニューメキシコ州の最年少の代表です。私を4年間フォローしてるって。こういうイベントでは私にこう言ってくれる人がいます。『あなたのビデオを見て来ました』『ずっとフォローしてました』自分の発言がインパクトを与えている。信じられません」

党大会最終日のテーマは「私たちの未来のために」。演説はこんな言葉で締めくくられました。

民主党大統領候補 カマラ・ハリス氏
「子どもたちや孫たちを代表して、自由と解放のために犠牲を払った人たちを代表して、私たちはこの瞬間にふさわしくあるべきです。さあ外へ出て闘いましょう。投票しましょう。史上最高の物語の新たな章を一緒に作り出しましょう。アメリカに神のご加護を」

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■Z世代が握るカギ

■Z世代が握るカギ

選挙権のある“Z世代”と“ミレニアル世代”は18歳から43歳にあたりますが、アメリカの人口構成を見ると、このSNSに馴染みのある世代が48.5%を占めています。この世代に訴えるために、ハリス氏はインフルエンサーを活用したSNS戦略に乗り出しました。

今回招待された人数は200人以上。その1人であるオリビアさんは、アメリカで社会課題になっている中絶問題などについて発信を続けていて、SNSの総フォロワー数は約114万人。他にも性的マイノリティーの問題に詳しい人や、中東の紛争問題について発信している人など、様々な分野からインフルエンサーが招待されています。

インフルエンサーには会場を見渡せる特等席が与えられ、さらに議員にインタビューできる区域にも入ることができました。他にも、無料で食事やお酒が楽しめるラウンジ、撮った映像をその場で編集・配信できる作業スペース、記者席の利用も可能となっていました。

一方、トランプ氏もSNSで政治を動かしてきた人物です。アメリカメディアによると、トランプ氏は、先月行われた共和党大会に約100人のインフルエンサーを招きました。また、トランプ陣営は、Z世代である自身の息子を中心に、若い世代の有権者への訴えを強化していて、大統領選をめぐる争いがネット空間でも激しくなっています。

ハリス氏とトランプ氏は、来月10日にテレビ討論会で初の直接対決に臨みます。

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