米民主党の全国大会は最終日の22日、中西部イリノイ州シカゴの会場で、女性初の大統領を目指すハリス副大統領(59)が指名受諾演説を行う。
11月の大統領選に向けて、米国の未来に対する前向きなビジョンや、中間層や労働者層を重視する姿勢を強調。女性の人工妊娠中絶を含むさまざまな権利や自由が守られる社会を重視する姿勢を打ち出す。政策や価値観で共和党大統領候補のトランプ前大統領(78)との違いを鮮明にする。
最終日のテーマは「私たちの未来のために」。ハリス氏の演説では、インド系で中間層の母親に育てられた生い立ちにも触れながら、米国の未来について語るとみられる。検察官だった自身の経歴を引き合いに、一部の刑事事件で有罪判決を受けたトランプ氏との違いも描き出す。
ハリス氏は、党の候補指名を固めていたバイデン大統領(81)が7月下旬に高齢による衰えへの懸念から出馬を断念したため、急きょ登板した。政策やビジョンが十分煮詰まっていないとの批判もあり、受諾演説の内容が注目される。
22日の大会では民主党の「若手のホープ」の一人と目されるウィットマー・ミシガン州知事らも登壇する。
19日に開幕した大会では、これまでに副大統領候補のウォルズ・ミネソタ州知事やバイデン氏のほか、オバマ元大統領と妻ミシェルさん、ビル・クリントン元大統領と妻ヒラリー・クリントン元国務長官らが演説。党内の足並みを乱すこともあった左派からは若手有力者のオカシオコルテス連邦下院議員が登壇し、党内が結束してハリス氏を支援していく姿勢を強調してきた。
またハリス氏陣営が目指す方向性として、選挙の結果を左右する接戦7州で鍵を握るとみられる中間層や労働者を重視する姿勢や、人工妊娠中絶などの権利擁護や自由な社会の実現を前面に打ち出した。
複数の世論調査では、トランプ氏に先行を許していたバイデン氏から一転して、ハリス氏は接戦州でもトランプ氏を上回ったり、激しく追い上げたりする結果が出ている。陣営は党大会を弾みにして、今後さらなる支持拡大を目指す。【シカゴ松井聡、秋山信一】
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