イスラエル軍の空爆で親戚が死亡し、嘆き悲しむパレスチナの女性=パレスチナ自治区ガザ地区中部デルバラーで2024年8月22日、AP

 パレスチナ自治区ガザ地区の戦闘の停戦交渉を巡り、イスラエルや米国などの交渉団は22日、エジプトの首都カイロで、ガザとエジプトの境界地帯の管理について協議した。米ニュースサイト「アクシオス」が報じた。イスラエルは境界地帯などでの軍の駐留を要求しているが、イスラム組織ハマスは反発。境界地帯の管理が交渉の主な焦点になりつつある。

 協議には、イスラエルの対外諜報(ちょうほう)機関モサドのバルネア長官らの他、米国やエジプトの高官も参加。アクシオスによると、イスラエルの高官は、駐留する軍の数は減らすものの、境界地帯全体に軍を引き続き配置する計画を示した。これに対して、エジプトの高官はイスラエル軍が長期間、境界地帯に配備される計画を拒否したという。

 境界地帯は約14キロ、幅約100メートルで、通称「フィラデルフィア回廊」と呼ばれる。ハマスは境界沿いの地下に多数のトンネルを掘り、武器を密輸していたとされる。イスラエル軍は5月下旬、境界を制圧した。

 米国は、今月16日に提示した新たな停戦案について、イスラエルが受け入れたと主張しているが、実際は交渉がまだ続いている模様だ。バイデン米大統領は21日のネタニヤフ首相との電話協議で態度の軟化を要求。しかし、イスラエルは、境界地帯からの撤退や、国際部隊の駐留を検討しているとの報道を否定するコメントを出した。

 またイスラエルは、北部ガザ市南郊にガザを南北に分断する道路を建設しており、この道路にも部隊の駐留を求めている。ロイター通信は、道路沿いの駐留の要求も合意の障壁になっていると報じた。

 これに対して、ハマスは、イスラエル軍の完全撤退を求めている。停戦後も軍が境界地帯沿いなどに駐留することは、ガザの「軍事占領」を認めることになり、受け入れは難しく、米国が示した新たな停戦案を「イスラエル寄り」だと非難している。【エルサレム松岡大地】

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