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アメリカ大統領選に向けた民主党の党大会が開幕し、ハリス副大統領がトランプ氏打倒に向け、団結を呼び掛けました。全米の支持率ではトランプ氏を上回るハリス氏ですが、選挙戦の今後はどうなるのでしょうか。

■バイデン氏やヒラリー氏も登場『民主党大会』開幕

4日間の日程で行われる民主党全国大会。初日の19日は、ゲストスピーカーたちによるスピーチがメインです。

クリントン元国務長官
「アメリカで何かが起きています。ガラスの天井の向こう側ではカマラ・ハリスが手を挙げ、第47代大統領の就任宣誓を行っています。孫やその孫たちに、私がこの瞬間ここにいたこと、私たちが常にカマラ・ハリスと共にいたことを知ってほしい」

登壇者にはバイデン大統領の娘の姿も。

バイデン大統領の娘 アシュリー氏
「これは一世一代の戦いです。自由と民主主義、生殖の自己決定権、全てがかかっています。ひとつになればできます。父が道を示してくれました。ここで父を紹介します。第46代大統領ジョー・バイデン」

バイデン大統領は「私を撤退させた人間を恨んではいない」と強調したうえで、52分に及ぶ演説をこなしてみせました。1カ月前に異例の候補者変更を行った民主党ですが、シコリはないようです。

バイデン大統領
「ハリス氏を副大統領に選んだのは、私の最初の決断であり最高の決断だった。彼女は子どもたちから、そして世界の指導者たちから尊敬される大統領に、誰もが誇りに思う大統領になるでしょう。2人のために最高のボランティアになると約束します」

民主党大会は良いスタートを切りました。20日からもオバマ元大統領など次々と大物ゲストが登場します。

ハリス氏がSNSなどを中心にちょっとした現象になっている一方、目立ったトピックがないのがトランプ陣営です。最近話題になったのは、AIで作られたテイラー・スウィフトさんのフェイク画像を投稿して支持を受けたように装ったり。あとはイーロン・マスク氏を閣僚に招聘する考えがあると表明したことくらいでしょうか。

両者の支持率平均は依然、拮抗しているものの、ハリス氏の方が僅かにリードしている状態が続いています。

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■ハリス氏リードで有権者に変化も

■ハリス氏リードで有権者に変化も

勝敗を左右するスイングステイトの1つ、ウィスコンシン州。民主党員のバードさんはこの日も戸別訪問で支持を訴えていました。

小松靖記者
「バードさんは無党派世帯の地図を片手に、いわゆるアポなしで1軒1軒家を回って説得を続けます。ハリス候補以降、反応は格段に良くなっているといいます」

先月、同行取材した時は、話を聞いてくれることはあまりありませんでした。

民主党員 バードさん(先月15日)
「きょうは普段よりも反応が冷たいみたい」

しかし、ハリス氏が大統領候補になってからは明らかに反応が良くなり、民主党支持者の表情も明るくなってきたようです。

民主党支持者
「(Q.大統領選の結果に期待が持てるようになった?)はい。政治家は引退適齢期をもっと考慮すべきだし、バイデン氏が退いてくれてよかったです」

民主党員 バードさん
「人にはそれぞれ事情や理由があるので、妥協点を見つけることが肝心です。無党派層や投票に浮動票や投票に関心の低い層に戸別訪問して、票を掘り起こしたい」

■会場外では抗議デモ

ただ、ハリス氏がこの勢いを保ったまま11月までいけるかというと、それは分かりません。例えば今回、民主党大会の会場外で開かれた、イスラエルのガザ侵攻に抗議する集会では、ハリス氏に批判的な声も聞かれました。

現役の副大統領である以上、バイデン政権の評価がそのまま彼女の支持率に直結してきます。政策面での不満や失態は支持を失いかねません。

デモ参加者
「(Q.ハリス氏じゃなかったら誰に投票)ハリスが立場を変えなければ、私は誰のためにも投票しません」
「(Q.ハリス氏は何をすべきか?)パレスチナの人々を守るための休戦をすべきです。民主党の隠れみのになるような休戦ではダメです。イスラエルへの武器輸送や支援も止めさせるべき。シンプルなことです。やれることは山ほどあって、ハリスは『やる』と言っていますが、やっていません」

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■ハリス氏に勢いも…激戦州で接戦

■ハリス氏に勢いも…激戦州で接戦

全米をならした支持率でいうと、ハリス副大統領が有利だとしても、それが必ずしも選挙結果とイコールにならないのが、このアメリカ大統領選挙の特徴です。

大統領選では、各州に人口比で割り当てられた『選挙人』がいて、それを勝った党が基本“総取り”し、選挙人の多い方が勝利する仕組みで、伝統的にそれぞれの党が強い州があります。19日時点のアメリカの選挙情報サイトの予測では、民主党と共和党がほぼ互角の状況です。

大統領選の勝敗を分けるのは、民主党が勝ったり共和党が勝ったり、選挙のたびに勝ち負けが変わる『激戦州』です。これらの地域で選挙に勝利し、当選に必要な選挙人をいかに多く確保するかが、勝敗のカギを握ります。

アメリカの選挙情報サイトによる主な激戦州の最新の支持率を見てみると、全米ではハリス氏がリードしている一方、依然として7つの州のうち、5つの州でトランプ氏がリードしています。ただ、ハリス氏はその差を縮めています。

さらに、激戦州のなかでも最も選挙人が多い、ペンシルベニア州。4月下旬以降、トランプ氏がバイデン大統領を大きく上回っていましたが、ハリス氏に代わった途端に民主党の支持率が急上昇しました。その差はわずか0.2ポイントと接戦です。

アメリカ政治に詳しい上智大学・前嶋和弘教授
「今は民主党大会というヤマ場を迎えていて、ハリス氏に勢いがあるのは“当然”の時期。注目は最終日にあるハリス氏の演説。この演説で多くの人に支持が広がれば、さらに勢いがつき、“互角”の現状が変わるかも」

大越健介キャスター
「民主党大会の期間中は、オバマ氏、クリントン氏といったレジェンドたちの演説も予定されていて、その間、報道もほぼ民主党一色となります。先月には共和党大会が開かれ、銃撃後に立ち上がったトランプ氏が全米の注目を浴びました。両党の大会が終わると、双方とも同じスタートラインに立つことになります。来月には両大統領候補の討論会、そして、10月には副大統領候補の討論会も行われることになっていて、11月の投票日に向けて、アメリカは、有権者が次のリーダーの資質を見極める大事な政治の季節を迎えることになります」

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