パレスチナ自治区ガザ地区を移動するイスラエル軍の車両=8月14日、ロイター

 パレスチナ自治区ガザ地区の停戦交渉は15日、カタールの首都ドーハで再開する。中東情勢の緊迫を避けるため、仲介国の米国などは停戦合意を目指している。一方、ロイター通信などによると、イスラエルは交渉に参加するものの、イスラム組織ハマスは交渉に出席せず、協議終了後に仲介国と会談する予定だという。

 「(15日は)重要な日になるだろう」。米ホワイトハウスのジャンピエール大統領報道官は14日、協議への期待感を示した。

 7月末にハマスの最高指導者ハニヤ氏がイランで殺害されたことを受け、イランはイスラエルへの報復を宣言。米国は、ガザ地区での停戦合意が実現すれば、イランが報復を見送る可能性があるとみている。

 停戦交渉の再開は、バイデン米大統領とカタールのタミム首長、エジプトのシシ大統領が8日の共同声明で要請。15日の交渉には、米中央情報局(CIA)のバーンズ長官やイスラエルの対外諜報(ちょうほう)機関モサドのバルネア長官らが出席する。協議は数時間とみられているが、必要に応じて継続される。

ハマス政治局のオサマ・ハムダン幹部=ドーハで8月13日、AP

 また、ブリンケン米国務長官は14日、カタール、エジプトの外相とそれぞれ電話で協議し、交渉の進展と地域の緊張緩和に向けて連携していく方針を確認した。

 ただ、最高指導者を殺害され、イスラエルに強い不信感を持つハマスは協議に直接は参加しない方針だ。ジャンピエール氏は「会談前の政治的なポーズはこれまでも目にしてきた。新しいことではない」と話したうえで、「人質の解放と停戦を巡る交渉が合意することによって、この地域の緊張が緩和できる。我々は準備ができている」などと強調した。

 停戦交渉は、バイデン氏が5月末に提案した3段階の停戦案をベースに進められてきたが、イスラエルが7月下旬、ガザ南部から北部に住民が戻る際の身体検査などを新たに要求。ハマスはこれに難色を示している。【ワシントン西田進一郎、エルサレム松岡大地】

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