タイのセター首相=ロイター

 タイの憲法裁判所は14日、2014年のインラック氏以来となる首相の解職請求を認めた。大連立を組むタクシン派と保守派の間で緊張が高まる中、司法の政治介入が再び繰り返された。1997年に制定された憲法により設立された憲法裁は、これまでに100以上の政党にも解党を命じている。

 タイメディアによると、00年以降、首相の資格を巡って憲法裁に提訴された歴代首相は5人。このうちセター氏を含め3人が失職した。

 また98年以降、憲法裁の判断で111党が解党された。今月7日にも、昨年の下院総選挙で躍進した最大野党「前進党」が、不敬罪見直しを公約に掲げたのは憲法違反だとして解党を命じられた。

 現在の憲法裁の裁判官は、14年に発足した軍政の影響を受ける上院によって選出された。その判断には国軍の意向が反映されていると言われる。

 前進党の前身である「新未来党」も、政党法違反があったとして20年に解党されており、前進党関係者は「保守派が憲法裁の仕組みを政治的武器にしている」と批判していた。【バンコク石山絵歩】

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