ロシアによる攻撃のさなか、国境の検問所から軍用車に乗るウクライナ兵士たち=ウクライナ北東部スムイ地区で2024年8月13日、ロイター

 ロシア西部クルスク州への越境攻撃を巡り、ウクライナ政府は13日、「領土を奪うことには興味が無い」と、同州の占領が目的であることを否定した。また、ウクライナ軍は州内の74の集落を支配下に置き、勢力を拡大していることも明らかにした。一方でロシア軍も掃討作戦を本格化させており攻防は激化している。

 ウクライナ外務省の報道官は13日、報道陣に「ロシアと違い、ウクライナは他人の財産を必要としていない」と述べた。越境攻撃の効果として、激戦が続くウクライナ東部ドネツク州にロシアが追加戦力を投入できなくなったと強調した。

 ただし、ウクライナが越境攻撃に踏み切ったのは、ロシアの戦力を分散させるのにとどまらず、今後の停戦交渉に向け状況を有利にするためという見方は根強い。実際、ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は13日、国営テレビに、和平を巡る首脳会談にロシアを参加させるには「強制的な手段しか効果がない」として越境攻撃に言及した。攻撃の真の目的は依然はっきりしていない。

 ゼレンスキー大統領は13日夜の演説で越境攻撃について「我々ウクライナ人は、どんな状況でも目的を達し、国益と独立を守る力を持っていることを再び証明した」と評価した。74の集落を支配下に置いたほか、数百人のロシア兵を捕虜にしたとも明らかにした。

 対してロシア国防省は13日、クルスク州や周辺でウクライナ軍の無人機計14機を迎撃したと発表した。またロイター通信によると、ロシアとの国境近くにあるウクライナのスムイ地域を砲撃。激しい戦闘が続いている。

 一方、米ホワイトハウスのジャンピエール報道官は13日、ウクライナから越境攻撃について事前通告はなく、関与もしていないと記者団に語った。【ブリュッセル岡大介】

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