X(ツイッター)のライブ配信で対談したトランプ前米大統領(左)と実業家のイーロン・マスク氏=AP This combination of photos shows former President Donald Trump during rally in Minden, Nev., Oct. 8, 2022, left, and Elon Musk in Wilmington, Del., July 12, 2021. (AP Photo)

 全米自動車労働組合(UAW)は13日、ドナルド・トランプ前大統領と米電気自動車大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者が、法律に違反してストライキに参加する労働者を脅迫したとして、労働当局に告発した。前日の両氏の対談で「ストに加わった労働者は解雇すればいい」との趣旨の発言があったことを問題視した。

 「X(ツイッター)」で12日にライブ配信された対談で、トランプ氏はマスク氏に「従業員がストに入ったとする。『OK。君らは全員いなくなる』と言えば良い」と述べた。

 トランプ氏は、マスク氏について「素晴らしいカッターだ」とも発言。経営効率化のための人員削減(カット)策を称賛したとみられる。マスク氏は笑ってトランプ氏の発言を聞いていた。

 米労働法では、ストに参加する権利が労働者に認められている。UAWは「スト参加者の解雇は不可能。『解雇する』と脅すのも違法だ」と主張した。

 UAWは11月の大統領選でカマラ・ハリス副大統領を支持すると決定済み。ショーン・フェイン委員長は「トランプ氏は常に労働者が立ち上がるのに反対し、マスク氏のような億万長者の味方をしている」と批判した。

 トランプ氏はフェイン氏を「即刻委員長を解雇されるべきだ」などと非難してきた。マスク氏も組合活動に批判的な立場で、テスラにはいまだ労組が存在しない。

 マスク氏は今春、テスラの販売不振を受け、全世界で10%以上の人員削減をすると従業員に通知。22年秋にツイッターを買収した際には、全従業員の約半数を解雇し「激務が嫌なら退職を」とのメールを送っている。【ワシントン大久保渉】

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