タイ憲法裁判所による解党命令に涙する前進党の支持者ら=バンコクの党本部で2024年8月7日午後3時25分、石山絵歩撮影
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 「タイの民主主義は偽物だ」――。タイ憲法裁判所が最大野党「前進党」の解党を命じた7日、首都バンコクにある党本部には悲鳴が飛び交い、集まった支持者らは怒りと失望を口にした。

 前身の「新未来党」時代からの支持者だというサコーン・カムタレンさん(60)は「選挙という民主的なプロセスで最多議席を獲得したのに、タイの民主主義の仕組みが壊れているため政権を取れなかった」と話し、解党命令については「またかという感じだ。怒りしかない」と吐き捨てるように言った。

 飲食業のティティポーン・ソムキエットさん(37)は三女(8)を連れて党本部にやってきた。解党されないようにと願い、前日に党のシンボルマークを髪の毛に刈り込んだが「夢は打ち砕かれた」。

 前進党を支持するのは「地域格差を解消して、娘たちによりよい人生を送ってほしいから」だという。「タイの民主主義は未完成。前進党なら完成に近づくのに解党されてしまった」と落胆した。

 現在の憲法裁の裁判官は2014年に発足した軍政が指名。その判断には国軍や親軍派の意向が反映されていると言われる。

 06年の軍事クーデター以降、憲法裁による解党命令は30件以上にのぼる。前進党の前身にあたる新未来党も、19年の下院総選挙で反軍政を掲げて躍進したが、翌年に解党された。前進党のピター前党首は「保守層は憲法裁への申し立てを政治的武器にしている」と批判していた。【バンコク石山絵歩】

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