パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスは6日、暗殺された最高指導者、イスマイル・ハニヤ氏の後任に、ガザ地区トップのヤヒヤ・シンワル氏を選んだと発表した。シンワル氏はガザ地区の戦闘を指揮する「強硬派」とされており、ハマス幹部はAFP通信に「『抵抗』に向けた強いメッセージだ」と語った。今後、イスラエルとの停戦交渉が難航する恐れがある。
ハマス政治部門幹部のハムダン氏は6日、中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」で、シンワル氏が全会一致で選ばれたと明らかにした。シンワル氏の就任が停戦交渉に影響を与えるかどうかは「時期尚早だ」とした。
イスラエルは、シンワル氏を昨年10月に起きた越境攻撃の首謀者の一人であり、ハニヤ氏の暗殺前から「事実上の最高指導者」とみていた。イスラエル軍のハガリ報道官は6日、中東メディアに対し「シンワル氏の居場所は(イスラエルが殺害した)テロリストの隣だ。我々は彼のために(墓を)準備している」と語り、シンワル氏を標的にする考えを改めて示した。
シンワル氏は1962年、ガザ地区南部ハンユニスの難民キャンプで生まれた。イスラエルのスパイを摘発する活動などに従事し、スパイを残忍な方法で殺害するなど「ハンユニスの殺し屋」と恐れられた。88年にイスラエル兵らを殺害した容疑でイスラエル当局に拘束され、終身刑を言い渡されたが、イスラエル兵との捕虜交換で2011年にガザ地区に戻った。17年にガザ地区トップに選ばれ、21年に再選されている。
7月31日に暗殺されたハニヤ氏は、カタールを拠点としていたこともあり、ハマス内では「穏健派」とされ、停戦交渉で中心的な役割を担ってきた。ガザ地区の戦闘員を束ねるシンワル氏は、イスラエルに対してより強硬だとみられている。【エルサレム松岡大地】
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