11月の米大統領選で返り咲きを目指す共和党のトランプ前大統領は6日、民主党のハリス副大統領と中西部ミネソタ州のワルツ知事の正副大統領候補に「最も急進的な左派の2人組」とのレッテルを貼って批判した。
ただ、最終候補に挙がっていた接戦州出身の他の知事や上院議員に比べると、ワルツ氏はトランプ陣営にとって大きな脅威にはならないとの見方もあり、共和党からは安堵(あんど)の声も聞かれた。
トランプ陣営は声明で、ワルツ氏は「西海岸かぶれ」だと指摘。気候変動対策などで西部カリフォルニア州に似たリベラルな政策を推進したことを批判した。過去に中西部の農村部を「大半は岩と牛ばかり」と形容した発言も問題視した。副大統領候補のバンス上院議員は、8月下旬の民主党全国大会後にワルツ氏との討論会を調整したい考えを示した。
ワルツ氏は事前に有力候補に挙がっていたこともあり、共和党は批判の準備を整えていた。バンス氏は、2020年にミネソタ州で黒人男性が白人警官に首を押さえつけられて死亡した事件を巡り、ワルツ氏の州兵派遣の判断が遅れて「暴徒が街を焼き払うのを許した」と非難。不法移民にも運転免許証取得を容認した政策も批判した。
ただ、共和党にとっては、接戦州である東部ペンシルベニア州のシャピロ知事や、西部アリゾナ州選出のケリー上院議員の方が手ごわかったとの見方が強い。
米メディア「アクシオス」によると、下院共和党ナンバー3のエマー院内幹事は「我々にとってすばらしい人選だ」と指摘。民主党左派が過去にイスラエル寄りの言動をしていたユダヤ系のシャピロ氏の起用に反対していたことを踏まえて「民主党は反ユダヤ主義、反イスラエルの過激派に屈した」と批判した。
2大政党の正副大統領候補が出そろったことで、今後は両陣営とも接戦州を中心に遊説や広告にさらに力を入れていく。トランプ氏は「(民主党の)副大統領候補が選挙戦に影響することはほとんどない」との考え方を示してきた。引き続き不法移民問題など、現政権下でのハリス氏の責任追及に注力する構えだ。【ワシントン秋山信一】
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