米民主党は6日、11月の大統領選の正式な候補にカマラ・ハリス副大統領(59)、選挙を共に戦う党の副大統領候補に中西部ミネソタ州のティム・ワルツ知事(60)をそれぞれ指名したと発表した。2人は同日、東部ペンシルベニア州フィラデルフィアで初めて一緒に集会に臨み、共和党のドナルド・トランプ前大統領(78)との対決姿勢を鮮明にした。
ハリス氏は集会で「ワルツ氏と私はこの国の異なる場所の出身だが、同じ価値観を持つ。人々を打ちのめすのではなく、引き上げるということを信じている」と強調。ワルツ氏も「トランプ氏が返り咲けば、4年前にやり残したことをやろうとするだろう。ただし、今度はもっと悪くなる。我々だけでは成し遂げられない。あなた方が必要だ」と有権者に訴えた。
2人は7日以降も、中西部のウィスコンシン、ミシガン両州、西部アリゾナ州など複数の激戦州を回って遊説する。
ワルツ氏は中西部ネブラスカ州出身で、州兵や高校の教員、アメリカンフットボールのコーチなどを務めた。連邦下院議員を6期務め、18年のミネソタ州知事選で初当選し、現在2期目。議員時代は農村部を地盤とし、銃規制に反対する米国屈指のロビー団体「全米ライフル協会」(NRA)からも支持されていた。
だが、知事になってからは、銃購入時の身元調査の拡充や人工妊娠中絶の権利の州法への明記などリベラルな政策を進めてきた。トランプ氏とその副大統領候補のバンス連邦上院議員(40)を「奇妙な連中」と呼んで、ネット交流サービス(SNS)で話題にもなった。
ハリス氏が当選を果たすためには、激戦7州の中でも、とりわけ「ラストベルト」(さびついた工業地帯)と呼ばれるペンシルベニア、ウィスコンシン、ミシガン各州での支持拡大が鍵となる。
ハリス氏は、西部カリフォルニア州出身の女性で、黒人及びアジア系の出自を持ち、リベラル色が強い。一方、コンビを組むワルツ氏は地方出身の白人男性のため、中西部などの白人の労働者や中間層への浸透が期待できる。ただ、ワルツ氏は政治経験を積んでいて安定感もあるが、全国的な知名度は高いとは言えず、今後の浸透が課題となる。【フィラデルフィア(米東部ペンシルベニア州)松井聡】
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