米国のブリンケン国務長官=ウランバートルで2024年8月1日、ロイター

 イランやレバノンのイスラム教シーア組織ヒズボラによるイスラエルへの報復攻撃を巡り、緊張が高まっている。米ニュースサイト「アクシオス」は4日、ブリンケン米国務長官が主要7カ国(G7)の外相に対し、イランやヒズボラが早ければ24~48時間以内にイスラエルに攻撃を開始するとの見方を伝えたと報じた。米政府はイラン側に自制を求めるとともに、防衛体制の構築を図っている。

 ブリンケン氏は、イラン側への外交的な圧力を強めて報復攻撃をできるだけ小規模にするため、G7の外相との協議を招集。日本外務省によると、声明では「全ての当事者に対し、報復的な暴力の連鎖の継続を回避し、緊張の度合いを下げ、緊張緩和に向けて建設的に関与することを改めて強く求める」とした。

 また、ブリンケン氏は4日、イランの隣国イラクのスダニ首相とも電話協議し、緊張緩和に向けた措置を取ることで一致した。米国はこうした外交努力を続けると同時に、イラン側からの攻撃に対する準備も進めており、中東に艦艇や戦闘機を追加で配備した。

 イスラエルメディアによると、同国のネタニヤフ首相は4日の閣議で、イランなどの報復攻撃が迫っているとの見方について「われわれを攻撃すれば高い代償を科す」と警告。イラン側をけん制するとともに、防衛能力に自信を見せた。

 イランが4月にイスラエルによる在シリアのイラン大使館空爆への報復として、計300発以上の弾道ミサイルなどを発射した際、イスラエルは米軍などの支援を受けて「99%」の迎撃に成功している。

 パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスの最高指導者ハニヤ氏は7月31日、イランの首都テヘランでイスラエルによるとみられる攻撃で殺害された。イランの最高指導者ハメネイ師は報復を宣言している。【ワシントン松井聡、エルサレム松岡大地】

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