南米ベネズエラの大統領選で、独裁色を強める反米左派マドゥロ大統領(61)が勝利したとの発表に不正選挙だとの見方が広がる中、マドゥロ氏は7月31日、投票の詳細な集計結果を公表する用意があると述べた。地元メディアが伝えた。
マドゥロ氏は報道陣に対して「正義の前に身を置く」と強調し、最高裁に選挙に関する監査の実施を求めたことも明らかにした。ただ、選挙結果を発表した全国選挙管理委員会と同様に、最高裁は政権の影響下にある。公正な監査が実施されるかは不透明だ。
米CNNによると、マドゥロ氏は31日午後、首都カラカスで海外メディア向けにも記者会見を開き、反米左派の故ウゴ・チャベス前大統領が敷いた路線を「継続したい」と強調した。さらに、「北米帝国主義とファシズムの犯罪者」が自分たちを排除するならば「新たな革命」を国民に呼び掛けると警告。権力を握り続ける意向を鮮明にした。
全国選管は28日投開票された大統領選で、マドゥロ氏が51%を得票して勝利したと発表した。しかし、投票所ごとの集計結果は公表していない。発表を受けて、不正選挙だと訴える有権者が抗議デモを展開。国際社会からも不透明な選挙手続きに批判の声が上がった。
31日には主要7カ国(G7)が声明を発表し、「透明性のある詳細な選挙結果」を公表するようベネズエラ側に求めた。同日、米大陸の国々でつくる米州機構(OAS)も緊急会合を開いた。ただ、AP通信によると、詳細な選挙結果を公表するよう圧力をかける決議案には17カ国が賛成したものの、あと1票足りず採決に至らなかった。
大統領選を巡っては、マドゥロ氏に挑んだ野党連合の統一候補で元外交官のゴンサレス氏(74)の陣営も勝利を主張している。陣営は各投票所の集計結果の3分の2以上を入手し、分析した結果、マドゥロ氏が敗北したと訴えている。
国際社会では米国や中南米諸国の多くがマドゥロ氏の勝利に疑義を呈している。一方、中国、ロシアやカリブ海の社会主義国キューバ、反米左派政権の中米ニカラグアなどはマドゥロ氏への祝意を示している。【ニューヨーク中村聡也】
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