パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスの最高指導者ハニヤ氏がイスラエルによるとみられる攻撃で殺害されたことを受け、ガザの停戦交渉を仲介していたカタールやエジプトが反発を強めている。
今回の事態で、イスラエルとハマスの停戦交渉が停滞するのは必至で、これまでの仲介がないがしろにされたも同然だからだ。ガザでの人道危機が深まる中、打開策は見えていない。
「一方の当事者が相手の交渉者を暗殺しておきながら、どうやって仲介を成功させようというのか」。カタールのムハンマド首相兼外相は7月31日、X(ツイッター)にこう投稿し、「平和(の実現)には真剣なパートナーが必要だ」と訴えた。
ハマスとイスラエルの停戦に向けた交渉では、3段階で休戦し、人質解放などを進める案が協議されている。7月には、ハマスが従来求めてきた「恒久的な停戦」の実現を一時棚上げし、休戦開始後に改めて交渉することで譲歩したと報じられ、合意への期待が高まった。だが、その後の交渉でも大きな進展はみられなかった。
こうした中、ハマス側で交渉の中心的な役割を担っていたハニヤ氏が暗殺されたことに仲介国は強く反発する。エジプトは31日の声明で「イスラエルに紛争拡大を抑える意思がないことを示しており、ガザでの停戦に向けた努力を台無しにしている」と批判した。
ただ、カタール外務省によると、ムハンマド氏は31日、ブリンケン米国務長官と電話協議し、ガザ停戦を実現する必要性を強調して、仲介を続ける意向を示した。カタールやエジプトが交渉の仲介をやめれば、紛争が中東全域に拡大する懸念が強まるため、仲介国も交渉努力を続ける以外に道はないのが実情だ。【パリ金子淳】
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