抗議デモの参加者によって放火されたとみられるゴミのコンテナ=カラカスで2024年7月30日、AP

 南米ベネズエラ大統領選で、勝利を宣言したマドゥロ大統領(61)に対する抗議デモが激化している。地元メディアによると、治安部隊との衝突で少なくとも11人が死亡し、749人が拘束された。マドゥロ政権は野党による「クーデターの試み」とみなし、デモの抑え込みを図っている。

 マドゥロ氏の影響下にある全国選挙管理委員会は29日未明、マドゥロ氏の当選を発表。これに対し、野党連合の統一候補ゴンサレス氏(74)の陣営は不正があったと反発している。

野党連合の統一候補ゴンサレス氏(右から2人目)とマチャド氏(左)=カラカスで2024年7月30日、AP

 選管はマドゥロ氏の得票率は51%だったとするが、各投票所の集計結果は明らかにしていない。野党連合を率いたマチャド元国会議員(56)は30日、首都カラカスで開かれた抗議集会で、投票所ごとの結果を公表するよう要求。その上で「我々が交渉に応じるのは平和的な政権移行を行うときだけだ」と訴えた。

 マドゥロ政権に抗議するデモ隊に、治安部隊は催涙弾などを発射。反米左派路線を敷いた故チャベス前大統領もデモの標的となり、AP通信によると、西部カラボボ州にあるチャベス氏の銅像が破壊された。

 国際社会からの批判も続いており、米大陸の国々でつくる「米州機構」は、選挙結果の裏付けがなければ「結果は信頼できず、認めるべきでない」と指摘した。バイデン米大統領とブラジルのルラ大統領も電話で協議し、ベネズエラ政府が「全ての透明性ある詳細な投票データ」を公表すべきだとの認識で一致した。【ニューヨーク中村聡也】

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