大統領選の結果を受け、抗議デモを実施する市民ら=ベネズエラ北部で29日、AP

 ベネズエラ大統領選を巡り、全国選挙管理委員会(CNE)は29日、独裁色を強めるマドゥロ大統領(61)に当選証書を渡し、2025年1月から6年間大統領を務めると宣言した。地元メディアが伝えた。だが、集計の不正を訴える有権者らは29日、抗議デモを展開。米国なども開票手続きが不透明だとして批判を強めている。

 大統領選は28日に実施され、CNEは29日未明、マドゥロ氏の勝利を発表した。CNEはマドゥロ氏の影響下にあるとされる。マドゥロ氏は29日の演説で「国を平和と繁栄に導く」と強調。一方、野党を念頭に「ベネズエラへのファシスト的で反革命的なクーデターを試みる動きがある」と述べた。

 野党側は、出口調査で優勢だったことなどから、野党連合の統一候補で元外交官のゴンサレス氏(74)が勝利したとし、開票手続きに規定違反があったと主張する。ゴンサレス氏は29日、二人三脚で選挙戦を展開したマチャド元国会議員(56)とともに記者会見を開き、自身の勝利は「不可逆的だ」と強調した。

 CNEは各投票所の集計結果を公表しておらず、選挙監視団体は即時開示を求めている。

 国際社会も選挙結果に疑義を唱えている。ロイター通信によると、米国のブリンケン国務長官は29日、結果が実態を反映していないことに「深刻な懸念」を表明。米政府高官はマドゥロ政権が「選挙を操作」したと非難した。権威主義的な体制を続けるマドゥロ政権に対して米国は経済制裁を科しているが、情勢次第では制裁が強化される可能性がある。ブラジルや欧州連合(EU)からも、手続きの透明性を求める声が上がっている。

 国内ではこの日、不正選挙だと訴える人々が通りに出て、CNEの事務所前などで抗議デモを実施した。首都カラカスの一部地区では警察がデモ隊を追い払うために催涙弾を使ったという。【パナマ市・中村聡也】

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