2024年の米大統領選からの撤退を明らかにしたバイデン大統領(81)は、後継にハリス副大統領(59)を支持すると表明した。ハリス氏が正式に指名獲得に至れば、2016年大統領選のヒラリー・クリントン氏以来、2人目の女性候補になる。バイデン氏はコロナ感染による自主隔離中の7月21日、大統領選から撤退することを発表。ハリス氏を支持する考えをX(旧ツイッター)への投稿で示した。バイデン氏は25日、国民に向けたテレビ演説の中で、「新しい世代にバトンタッチすることが最善の道だと判断した。国を団結させる最善の方法だ」と大統領選撤退に至る事情を説明した。バイデン氏撤退表明後の24日、大統領選を巡るCNNの全米世論調査で、ハリス氏の支持率は46%、トランプ前大統領(78)は49%と、3ポイントリードした。25日のニューヨーク・タイムズ紙での世論調査では、ハリス氏47%、トランプ氏48%と拮抗した結果となった。ロイター通信は23日、ハリス氏の支持率は44%で、トランプ氏を2ポイントリードしたと、世論調査の結果を報じた。

民主党はバイデン大統領の選挙戦撤退に伴い、立候補者を27日まで受け付け、8月1日にオンライン投票を実施する。現時点でハリス氏1人が出馬表明をしている。ハリス氏は既に代議員約4000人の過半数を大幅に超える3180人から支持を取り付けており、正式指名の獲得が確実視されている。オバマ元大統領、夫人のミシェル・オバマ氏をはじめ、クリントン元国務長官、元下院議長のナンシー・ペロシ氏、民主党上院トップのチャック・シューマー院内総務など、民主幹部が一斉にハリス氏の出馬支持を明言した。ハリス陣営は、立候補表明から24時間で8100万ドル(約127億円)の政治献金を集めたと発表した。大統領候補による1日の集金額としては史上最高とされている。バイデン氏の撤退表明を受け、ディズニー創業家のアビゲイル・ディズニー氏が民主党への献金を再開し、また、著名投資家のジョージ・ソロス氏もハリス氏の支持を表明した。21日から24日までに、ハリス陣営は、1億2600万ドル(約194億円)の寄付を集めた。

大統領選出の党候補指名を確実にしたハリス氏は23日、激戦地であるウィスコンシン州ミルウォーキーで集会を開催、第一声を放ち、聴衆に支持を訴えた。ハリス氏は集会で、「副大統領に選ばれる前は上院議員、その前はカリフォルニア州司法長官。さらに、その前は検事として法廷であらゆる犯罪者を相手にしてきた。女性を虐待する卑怯者、消費者からお金をだまし取る詐欺師、私利私欲のためにルールを破るペテン師。だから、私はトランプ氏がどんな人間かよく理解している」と、トランプ氏が一部の事件で有罪評決を受けたことを指摘し、今回の選挙戦が「犯罪者との対決構図」であることを聴衆に印象付けた。また、ハリス氏は24日、共和党が優勢な中西部インディアナ州で、黒人女性団体の集会で演説した。本選勝利を目指し、黒人女性の票固めを狙った。25日には、南部テキサス州で、労働組合「アメリカ教員連盟」(AFT)の集会で支持を訴え、労組票の取りまとめを図った。

★ゲスト:前嶋和弘(上智大学教授)、峯村健司(キヤノングローバル戦略研究所主任研究員)
★アンカー: 木内登英(野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト)

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