アメリカ大統領選に向けて、本格始動したハリス副大統領。
アメリカでは、ハリス氏が踊り、大笑いする動画が猛スピードで拡散される中、若者に支持が広がる兆しが出ている。
さらに、黒人に圧倒的人気を誇るビヨンセさんがハリス氏の支持を示唆。
1か月近く「バイデン降ろし」で混乱が続いていた民主党だが、ハリス氏のもと、トランプ前大統領率いる共和党への反転攻勢が始まった。
緑色に染まった画面の中で、ハリス副大統領が踊り、大笑いする動画が、アメリカのソーシャルメディア上で急速に拡散している。
きっかけは、イギリスの女性ミュージシャン、チャーリーXCX(えっくすしーえっくす)さんによるツイートだ。
チャーリーXCXさんのツイート
「カマラ(ハリス)はbratだ」
「brat(ブラット)」という単語は「ガキ」「行儀の悪い子ども」といった意味を持つが、「周囲に流されない、カッコいい女性」として使われることもあるという。
「brat」はチャーリーさんの最新のアルバムのタイトルでもある。
ハリス陣営のアカウントも、アルバムのアートワークに似たデザインを取り入れ、チャーリーさんの発信に連帯を示した。
ツイートはバイデン氏が撤退を表明し、ハリス氏を後継指名した現地時間の21日の夜に投稿された。
現地時間24日の夕方の時点で33万件以上の「いいね」がつくなど、若者へのインパクトは大きかったとみられ、TikTokを中心にチャーリーさんの曲を使ったハリス氏の動画の投稿が相次いだ。
ハリス氏を動画の「素材」として面白がる“ミーム”の側面があり、必ずしも支持を表明するものばかりではないが、新しい動画が次々に作られ、アメリカのテレビ各社もこの動きを紹介する状況となっている。
カルチャーシーンにハリス氏が接近を図る動きはこれだけではない。
選挙戦で使用する音楽で黒人有権者へのアピールを試みている。
22日、ハリス氏が選挙本部で開いた事実上の「出陣式」で演説する際、流されたのはビヨンセさんの曲、「Freedom(フリーダム)」。
有名ラッパーのケンドリック・ラマーさんが参加したこの曲は、ビヨンセさんが黒人への暴力や構造的な差別への反対を訴える「ブラック・ライブス・マター」運動への連帯を強く示した曲として知られる。
CNNによると、ハリス氏の陣営はこの曲を選挙戦で使用する許可をビヨンセさん側から得たということで、CNNは黒人を中心に多くのファンを抱えるスーパースター、ビヨンセさんによるハリス氏への支持を示唆したものだと伝えている。
24日には、ハリス氏がZ世代の若者と黒人有権者の中で勢いを得ていることを示す世論調査が出た。
CNNが22日・23日とオンラインで行った世論調査。
ハリス氏とトランプ氏の対決で、34歳以下の若者の支持率はハリス氏47%、トランプ氏43%で、ハリス氏がトランプ氏に優勢だった。
4月と6月に同じ回答者を対象に行った調査ではバイデン氏42%、トランプ氏49%と、バイデン氏がトランプ氏に7ポイント負けていた。
また、黒人の支持率はハリス氏78%、トランプ氏15%だった。
4月と6月の調査ではバイデン氏70%、トランプ氏23%で、ハリス氏への候補者交替はプラスに働いているようだ。
若者と黒人有権者の中で勢いを見せるハリス氏。
ただ、大統領選で勝利するためには、白人労働者票がカギを握る中西部のペンシルベニア州など激戦州での勝利が欠かせない。
幅広い層に勢いを広げていけるのかが、ハリス氏の選挙戦の行方を左右することになる。
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