11月の米大統領選に向けて民主党の候補指名を確実にしているハリス副大統領(59)は23日、選挙の行方を左右する激戦州の一つの中西部ウィスコンシン州で、支持者向けに初めて演説した。元検察官という自身の経歴に触れながら、共和党のトランプ前大統領(78)が一部の事件で有罪評決を受けたことを強調。今回の選挙を「検察官対犯罪者」の戦いだと印象付ける狙いがあるとみられる。
「私はトランプ氏がどのような類いの人間か知っている」。ハリス氏は、かつて検察官としてさまざまな犯罪者たちと向き合った経験を引き合いに、こう強調した。トランプ氏は5月に不倫の口止め料を巡る刑事裁判で有罪評決を受けており、ハリス氏は「犯罪者に立ち向かう検察官」という姿を演出した。
政策面では、従来の民主党の主張と同様に、中間層の重視、人工妊娠中絶の権利擁護、公的医療保険の拡充、銃規制の必要性などを訴えた。さらに、自身を「未来志向」、トランプ氏を「過去志向」だと定義して方向性の違いを鮮明にした。
ハリス氏に対しては、23日も党内からの支持表明が続いた。民主党の上院トップのシューマー議員と下院トップのジェフリーズ議員が共同で記者会見し、支持を明らかにした。米紙ワシントン・ポストによると、23日午後の時点で党所属の連邦議員263人と州知事23人のうち、大多数となる計260人以上が支持を表明した。
調査会社イプソスとロイター通信が、バイデン大統領の撤退表明後の22~23日に実施した世論調査では、ハリス氏の支持率が44%で、トランプ氏の42%を上回った。15~16日の調査では両者は44%で並んでいた。民主党支持者の約9割がハリス氏を好意的に捉えているという。【ワシントン松井聡】
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