11月の米大統領選に向けた民主党の候補者指名で、AP通信は22日、ハリス副大統領(59)が指名に必要な代議員を獲得する見通しだと報じた。22日までに代議員の過半数(1976人)に達し2579人を確保したといい、指名はほぼ確実な情勢だ。返り咲きを目指す共和党のトランプ前大統領(78)との対決に臨む。
ハリス氏は22日の声明で、「幅広い支持を獲得できたことを誇りに思う。党を団結させ、国家を団結させ、トランプ氏を打ち負かす」と述べた。
高齢批判が高まっていたバイデン大統領は21日、再選出馬断念を表明し、同時にハリス氏を後継に推薦した。この推薦に拘束力はなく、後任候補選びの明確なルールも決まっていなかったため、党内が混乱するのではとの見方もあった。
ただ実際には党内有力者からハリス氏への支持表明が相次ぎ、大きな流れになっている。米紙ワシントン・ポストによると、22日夕時点で、党の連邦議員263人と知事23人のうち、計244人がハリス氏への支持を表明した。党重鎮のペロシ元下院議長も同日、「熱烈な支持」を発表した。
バイデン氏は2~6月の予備選・党員集会の大半で勝利し、4000人近い代議員のほとんどを獲得した。この代議員らはバイデン氏への投票を「誓約」していたが、バイデン氏の撤退で投票先は宙に浮いている状態だ。
ロイター通信によると、民主党全国委員会(DNC)のハリソン委員長は22日、後任候補を8月7日までに選ぶと明らかにした。同19~22日に中西部イリノイ州シカゴで開く党全国大会に先立ち、オンライン形式で代議員が指名のための投票を行う予定だ。
ただハリス氏は副大統領としての支持率が低迷し、バイデン氏以上に「不人気」との指摘がある。担当していた移民対策で目立った成果を上げられず、実力を疑問視する声も根強かった。準備期間も限られる中、トランプ氏と互角以上に戦えるかが課題となる。
一方、トランプ氏はソーシャルメディアでハリス氏を「史上最も人気のない副大統領」などと酷評し、バイデン氏と共に取り組んできた移民政策などを標的に攻撃を強めている。【ワシントン松井聡、西田進一郎】
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