米下院監視・説明責任委員会の公聴会に出席した大統領警護隊のキンバリー・チートル長官=ワシントンで2024年7月22日、AP

 米共和党のトランプ前大統領が選挙演説中に銃撃された事件で、連邦議会の下院監視・説明責任委員会は22日、公聴会を開き、大統領警護隊(シークレットサービス)のキンバリー・チートル長官が出席した。チートル氏は過去数十年間で「最も重大な失敗」と述べ、当日の警備態勢の不備を認めた。公聴会では共和党だけでなく、民主党側の議員からも辞任要求が出た。しかし、チートル氏は「現時点で警護隊を率いるのに最適な人物は私だ」と強調。辞任の可能性を否定した。

 公聴会は4時間以上にわたり開かれた。実行犯のトーマス・クルックス容疑者(20)は事件当日、数回会場を訪れ、銃撃数時間前には射撃手らが使う距離計を持ったまま金属探知機をいったん通過していた。

 チートル氏はクルックス容疑者に関して、当局は会場周辺に「疑わしい人物」がいるとして把握していたが、銃撃が始まる寸前まで「脅威」と見なしていなかったと証言。一方、当日の警備計画について追及されると「調査中」として回答は控えた。

 警護隊を巡っては、事件直後から警備体制の不備を批判する声が上がった。事件を検証する動きは相次いでおり、24日には米連邦捜査局(FBI)のレイ長官が下院司法委の公聴会に出席する。ジョンソン下院議長も超党派のタスクフォースを設置するとした。

 事件は13日夕、東部ペンシルベニア州バトラーで起きた。クルックス容疑者は演説台から約120~130メートル離れた会場外の建物の屋上から半自動小銃AR15でトランプ氏を狙撃したとみられている。トランプ氏は右耳を負傷、他に3人が死傷した。

 クルックス容疑者は銃撃後に警護隊に射殺された。AP通信などによると、近くに駐車していた車のトランクには爆発物が積まれ、ポケットの中にリモコンの起爆装置もあった。【ニューヨーク中村聡也】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。