イスラエル軍は22日、住民の避難先に指定しているパレスチナ自治区ガザ地区南部の「人道地区」の一部に避難命令を出し、空爆を実施した。ガザ保健当局によると、70人が死亡し、200人以上が負傷した。軍は、イスラム組織ハマスが周辺で「テロ活動」をしていると主張しているが、病院には多くの負傷者が運び込まれ、関係者は「病院は血の海だ」と訴えた。
イスラエル軍は今月初めの時点で「人道地区」には少なくとも100万人が住んでいると推定している。多くの人は避難民としてテントで暮らしており、住民の生活環境がさらに悪化するのは必至だ。
中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」によると、南部ハンユニスのナセル病院には多くの患者が殺到。病院の広報官は「3時間のうちに何百人もの死傷者を受け入れている。病院は制御不能の状態だ」と指摘。その上で「世界の国には、イスラエルに検問所を開けさせてほしい」と話した。
ガザ保健当局は22日、昨年10月の戦闘開始以来、ガザ側の死者は3万9006人になったと発表した。
一方、イスラエルのネタニヤフ首相は22日、米国に向けて出発した。滞在中は米大統領選挙戦からの撤退を表明したバイデン大統領と会談し、ガザ地区の停戦交渉などについて協議する見通しだ。24日には米議会で演説する。大統領選候補のハリス副大統領とも会談する予定で、トランプ前大統領との会談に向けても調整を続けている。【エルサレム松岡大地】
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