イスラエル軍は20日、親イラン武装組織フーシ派が支配するイエメン西部ホデイダの港湾を戦闘機で空爆したと発表した。イスラエルの商都テルアビブでは19日、フーシ派によるとみられる無人機攻撃で死傷者が出たばかりで、イスラエルが報復攻撃に踏み切った形だ。昨年10月にパレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘が始まって以降、イスラエル軍がイエメンを空爆したのは初めてとみられ、紛争が拡大する恐れもある。
イスラエル軍は「ここ数カ月の数百件の攻撃に対する報復」として空爆したとしている。ホデイダ港はイラン製武器の密輸に利用されていたことから標的にしたという。フーシ派などによると、空爆されたのは港や発電所、燃料の貯蔵タンクなどで、付近では大規模な停電が起きた。死傷者が出たとの情報もある。
イスラエルのガラント国防相は「初めてイスラエルの市民に被害を出したため攻撃した。今後も必要ならどこでも攻撃する」と述べた。一方、フーシ派は声明で「イスラエルの重要な標的を攻撃することにためらいはない」と述べ、イスラエルへの攻撃を激化させる姿勢を改めて強調した。
フーシ派はガザ地区の戦闘が始まって以降、ハマスに連帯を表明し、紅海などを航行する民間の商船やイスラエル領内を狙った攻撃を続けてきた。米英軍などはフーシ派の拠点を繰り返し空爆しているが、フーシ派による攻撃は激化している。
テルアビブでは19日未明、中心部の米領事館近くで爆発があり、男性1人が死亡したほか、少なくとも8人が負傷した。フーシ派は同日、「撃撃システムを回避できる無人機」でテルアビブを攻撃したと主張。イスラエル軍も、イエメンから飛来したイラン製無人機による攻撃だった可能性があると指摘していた。【カイロ金子淳】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。