米共和党副大統領候補のバンス上院議員=米中西部ミルウォーキーで2024年7月17日、ロイター

 スターマー英首相率いる労働党新政権の英国について、米共和党副大統領候補のバンス上院議員が「核兵器を保有するイスラム主義国家」と呼び、波紋を広げている。英国は与野党問わずこの発言に反発しており、11月の米大統領選でトランプ前大統領(共和党)が勝利した場合、米英の強固な同盟関係への影響を懸念する声もある。

 ロイター通信などによると、バンス氏は7月上旬、米ワシントンで開かれた保守派の会合で演説し、友人と「核を持つ最初の真のイスラム主義国はどこになるか」について話し合ったと述べた。そして「イランかもしれないが、実際には労働党が政権を取った英国だろうと話した」と語り、聴衆の笑いを誘ったという。

 英労働党は伝統的に「親アラブ・イスラム」で、4日投開票の下院総選挙でもイスラム教徒の複数の議員が当選した。発言の真意は不明だが、過去にイスラム教徒のロンドン市長のカーン氏(労働党)がトランプ氏を「人種差別主義者」と呼んだことに対する「報復」とも報じられている。

副首相「過去にも低俗な発言」と反発

イスラム教徒のロンドン市長のカーン氏=ロンドンで2024年7月9日、ロイター

 バンス氏の発言に対し、英労働党のレイナー副首相は「バンス氏は過去にも多くの低俗な発言をしてきた」と批判し、発言は「認められない」と述べた。野党・保守党のボウイ下院議員も「労働党の同僚を侮辱する発言だ」と語った。

 これまでも米共和党の一部からは同様の発言があり、5月にはロイ下院議員が「イスラム教徒が英国を乗っ取っている」と述べた。

 今回の騒動について英BBC放送は、仮にトランプ氏が当選した場合、「労働党新政権には難題が突き付けられる」との見方を伝えている。【ロンドン篠田航一】

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