中国の習近平国家主席=北京で3月11日、ロイター

 中国共産党の重要会議「第20期中央委員会第3回総会(3中全会)」は18日、独自の発展モデル「中国式現代化」の推進に関する決定を採択して閉会した。

 国営新華社通信が伝えた公報(コミュニケ)は「人民の期待を前に、改革をより突出した位置に置かねばならない」と中国経済の信頼回復を狙って改革色をアピールしつつ、党が絶大な権限を握る政治路線の堅持も同時に強調する。矛盾をはらむ方針の下で抜本的な経済活性化策につながるかは見通せない状況だ。

 決定の全文は数日後に公表される見通しで、具体的な経済政策などはその際に明らかになるとみられる。

 コミュニケでは、2035年までに「高水準の社会主義市場経済体制」を全面建設するとの目標を設定した。習近平総書記(国家主席)が昨秋以降打ち出した「新質生産力」の推進を明記。最先端技術・産業の振興を強化し、技術革新を通じて成長の底上げを目指す。米国が半導体などハイテク分野で対中包囲網を強化する中、「部品供給網(サプライチェーン)の安全」も確保するとした。

 また、個人消費が低迷し、人口減少の影響が懸念される中、国内需要の拡大を積極化する方針も打ち出した。「民生を改善することが中国式現代化の重大任務」とし、収入分配制度や就職対策、社会保障制度、人口対策を改善する方針も示した。不動産や地方政府債務問題を今後の経済リスクとして例示した。

 対外開放が基本的な国策であることを確認しながら、貿易面で「新たな成長エネルギーの育成を加速させる」とも主張。米欧が電気自動車などの過剰生産や輸出を批判しているが、これを顧みない姿勢をにじませた。

 一方、強権体制が民間活力を損なう副作用が露呈している中でも「根本的な政治制度を堅持」することを明記。党の全面的な指導を徹底し、一党支配体制を守る「国家の安全」の重要性を強調した。

 コミュニケは人事面にも触れている。23年7月に解任された秦剛前外相が党中央委員の辞職を申請し、それが受理されたことが明らかにされた。理由は不明。秦氏は1年前に動静が突然途絶え、米メディアなどが女性スキャンダルや機密漏えいに関わった可能性を伝えていた。これまで重大な規律違反などには問われておらず、今回も自発的な辞職とされたことから、厳しい処分には至らなかった可能性がある。

 他に、軍の大規模汚職疑惑を巡り、ロケット軍の李玉超前司令官、孫金明参謀長の党籍剥奪処分も明らかにされた。先に李尚福前国防相と魏鳳和元国防相が巨額の汚職疑惑で同じ処分を受けていた。【北京・小倉祥徳、河津啓介】

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