共同記者発表に臨む岸田文雄首相(右)とクック諸島のマーク・ブラウン首相=東京都港区で2024年7月18日午後1時59分、宮武祐希撮影

 日本と18の太平洋島しょ国・地域による「第10回太平洋・島サミット」(PALM10)は18日、首脳会合を東京都内のホテルで開き、首脳宣言と共同行動計画を採択して閉幕した。宣言では、中国などの動きを念頭に、武力による威嚇や武力の行使または威圧による「一方的な現状変更の試みに強く反対する」と表明。気候変動問題は太平洋地域の「存続に関わる唯一の脅威」として協力を強化することも盛り込んだ。

 岸田文雄首相は共同記者発表で「太平洋島しょ国・地域は、同じ海を共有する長年のパートナーだ」と強調。「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けた日本と太平洋島しょ国との協力と連携の重要性はますます高まっている」と述べた。

 首脳宣言では、自由、民主主義や法の支配などの「共有された価値・原則の重要性を再確認した」とし、「国の大小や力に関わらず主権が国際法や規範によって守られる」と明記。共同行動計画には、自衛隊との防衛交流の強化や、日本が防衛装備品などを供与する枠組み「政府安全保障能力強化支援」(OSA)を通じた海洋安全保障や海上保安の強化などを盛り込んだ。

共同記者発表後に握手する岸田文雄首相(右)とクック諸島のマーク・ブラウン首相=東京都港区で2024年7月18日午後2時11分、宮武祐希撮影

 協力分野では、島しょ国が所属する太平洋諸島フォーラム(PIF)が策定した「2050年戦略」で示された安全保障、経済開発、気候変動など七つの項目を重点分野とすることを確認した。気候変動対策では、日本側が支援策として「太平洋気候強靱(きょうじん)化イニシアチブ」を新たに表明。内閣府運用の準天頂衛星「みちびき」を活用した災害リスク軽減情報システムをフィジーで実証実験し、将来的に島しょ国全体へ提供することも含め、衛星技術を活用した防災対策の強化を目指す。

 東京電力福島第1原発処理水の海洋放出については、国際原子力機関(IAEA)を「原子力安全に関する権威」とし、科学的根拠に基づいて対応する重要性で一致。今後もサミットの議題とすることになった。首脳会合の共同議長を務めたクック諸島のブラウン首相は「引き続き太平洋島しょ国への誠実な説明をお願いした。対話プロセスを続けていく」と述べた。【森口沙織】

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