中正紀念堂の中に鎮座する蔣介石の巨像=台北市で2024年7月15日午前9時46分、林哲平撮影

 台湾・台北市中心部の中正紀念堂にある初代台湾総統・蔣介石像前で40年以上続いてきた儀仗(ぎじょう)兵による立哨と交代式が終了した。民進党政権が進める「個人崇拝や権威主義の排除」の一環。ただ儀仗兵の交代式は観光客からの人気が高く、付近に場所を移して行われることになった。

 中正紀念堂は1980年、蔣の功績を顕彰するために建設された。約1万5000平方メートルの敷地に建つ銅像ホールの中には台座を含めて約10メートルの蔣の銅像があり、儀仗兵が交代で立哨を担ってきた。

 蔣について台湾では中国による侵攻を防いだと評価されてきたが、近年では長期独裁を敷いて反体制派とみなした多くの住民を投獄・処刑したとの批判が強い。

蔣介石を顕彰する中正紀念堂の外でパフォーマンスする台湾軍の儀仗兵=台北市で2024年7月15日午前10時、林哲平撮影

 2016年に発足した民進党の蔡英文前政権は過去の政権による人権侵害の究明や、被害者への補償や名誉回復を含む「移行期正義」の実現を掲げた。蔡政権を引き継いだ頼清徳政権でも議論が進められた。

 変更後初日となる15日には、儀仗兵が徒歩で銅像ホール前の広場「民主大道」に進み、パフォーマンスを披露した。雨天時を除いて、午前9時から午後5時まで1時間ごとに行う。

 見学した南部・高雄市の会社員、阮妙山さん(45)は「功より罪の方が大きく上回る人物だ。時代に合わせた評価がなされるべきだ」と話した。【台北・林哲平】

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