米国では政治的な分断が進む中で、「主張実現のためには暴力もやむなし」と是認する過激な考え方が一定の支持を集めている。
米シカゴ大学の世論調査によれば、政治的な目的を達成するためなら力の行使も辞さないと考える人が「憂慮すべき」高い水準にあった。
同大は2021年1月にトランプ前大統領の支持者が米連邦議会議事堂を襲撃した事件後、継続して調査をしており、今年6月に2000人以上を対象にした分では、トランプ氏の再選を阻止するためなら暴力が正当化されると考える人は10%に及んでいた。このうち銃を保有している人は3割を超えていた。
一方、トランプ氏を再選させるためなら暴力の行使は認められると答えた人は6・9%だった。このうち4割以上が連邦議会襲撃事件に関わった人を「愛国者」だと考えていた。
一連の調査を続けるロバート・ペイプ教授は、米NBCテレビに対し、「報復としてのバイデン大統領に対する脅威も心配する必要がある」と指摘。「民主・共和両党やあらゆるレベルの政治指導者は、いかなる政治暴力に対してもただちに非難しなければならない」と付け加えた。
22年にはナンシー・ペロシ下院議長(当時)の自宅に男が侵入し、ペロシ氏の夫をハンマーで殴って重傷を負わせた事件が発生した。カリフォルニア州の連邦地裁は24年5月、略取未遂や暴行などの罪に問われたカナダ国籍の被告に対し、禁錮30年の判決を言い渡した。
被告は、米極右陰謀論「Qアノン」の信奉者で、裁判では「政府の腐敗」を正すためにペロシ氏を誘拐しようとしたなどと説明していた。【ニューヨーク八田浩輔】
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