中国とロシアが主導する枠組み「上海協力機構」の首脳会議が中央アジアのカザフスタンで開かれています。プーチン大統領は改めて結束をアピールしましたが、加盟国それぞれの思惑も見え隠れしています。
「今、首脳らの記念撮影が行われています。プーチン大統領や習近平国家主席らが一堂に会しています」
カザフスタンの首都アスタナで日本時間午後2時すぎから始まった上海協力機構首脳会議の全体会合。ロシアと同盟関係にあるベラルーシが新たに加盟することが正式に決まりました。
プーチン大統領はこの枠組みを「公正な世界秩序の重要な柱だ」と強調していて、欧米への対抗軸として位置付けたい構えです。
ただ、加盟国にはそれぞれの思惑も見え隠れします。
「市内では中国の国旗が目立っています」
中国の習近平国家主席は首脳会議に先立って現地入りし、カザフスタンのトカエフ大統領の出迎えを受けました。習氏は新型コロナ流行後の初めての外遊先にもカザフスタンを選び、重視する姿勢を示してきました。
カザフスタンでは、この数年で中国車の普及が進み、中国人観光客も急増したといいます。ロシアの勢力圏とされてきた中央アジアの取り込みを図りたい中国の思惑も伺えます。市民は…
アスタナ市民
「中国は経済が強く、技術もあります。カザフスタンにとって、ロシアより中国の方が必要です」
「中国は経済面で、ほぼ全世界を支配しています」
一方、ロシアによるウクライナ侵攻後、カザフスタンのトカエフ大統領はロシアと距離を置く姿勢を見せています。
「ロシア系住民の保護」を口実のひとつとして始まったウクライナ侵攻。カザフスタンではロシア系住民が全人口の2割弱にのぼり、ウクライナ侵攻後、国民の間ではロシアの軍事介入に対する潜在的な警戒感が一気に高まりました。今年春に発表された調査では、39%の人が「何らかの形での軍事介入がありうる」と答えています。
NPO「ペーパーラボ」 ベイセンバエフ研究員
「(ロシアの保守系政治家は)『カザフスタン北部はロシアのものだ』『カザフスタンが主権を獲得したのはロシアのおかげだ』と言います。帝政時代から残っている帝国主義的な考え方の表れです」
カザフスタンとしてはロシアと中国との間で“バランス外交”を展開し、安定を図る思惑とみられます。
それぞれの思惑を胸にした首脳たち。このあと加盟国以外も含めた拡大会合にのぞみます。
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