オランダで極右政党主導の連立政権を率いることになったのは、政治経験のない官僚だった。ディック・スホーフ氏(67)は、首相就任を発表する記者会見で「私がここにいることは驚きでしょう。私もこうなるとは思いませんでした」と率直な気持ちを打ち明けた。議員以外の首相就任は異例だ。英BBC放送によると、与党から首相が選出されなかったのは1918年以来だという。
昨年11月の総選挙で第1党となった極右「自由党(PVV)」のウィルダース党首が挙げた首相候補は詐欺疑惑が発覚するなどし、選出は遅れた。最終的に指名されたスホーフ氏は「5番目の候補」(AP通信)だという。
オランダメディアによる世論調査では、回答者の50%がスホーフ氏を「知らない」と答えた。キャリアは公務員一筋。政府の移民やテロ対策部門を率いた後、2018~20年に情報機関トップ。今年5月までは、司法・安全省の高官を務めた。こうした職歴が、移民、難民対策の厳格化を掲げるウィルダース氏の目にとまったとみられる。
一方、情報機関在職時には、部下が偽のSNS(ソーシャルメディア)アカウントを使って容疑者を追跡していたことが発覚し、その捜査手法が問題視されたこともあった。
中道左派の労働党に所属していたが21年に離党し、現在は親近感を抱いていないという。趣味はジョギング。これまでにフルマラソンを18回走り、最近では4時間10分の記録を出した。中国から養子として迎えた2人の娘がいる。【ベルリン五十嵐朋子】
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