フランス国民議会(下院、定数577)選挙の第1回投票が6月30日に行われ、即日開票された。各種調査会社の予測によると、極右政党「国民連合」が首位に立ち、予想獲得議席数で過半数の289議席に迫る勢いだ。左派連合「新人民戦線」は2位、マクロン大統領率いる与党連合は3位となっている。投票率は前回2022年の47・5%を大幅に上回り、60%を超えた。
フランスの総選挙は小選挙区2回投票制。第1回投票で各選挙区の有効投票の過半数を得た候補が当選を決め、決着がつかない場合は上位2候補と、登録有権者数の12・5%を上回った候補が7月7日の決選投票に進む。国民連合が勝利すれば、フランスで初めて極右の首相が誕生する可能性が高い。
パリジャン紙によると、投票率が上がった結果、決選投票を3人以上で争う選挙区は、前回の8選挙区から、285~315選挙区に増えそうだ。3人以上の選挙区では国民連合への反対票が分散するため、国民連合に有利とされる。
調査会社IFOPの分析によると、決選投票で国民連合の予想獲得議席数は240~270。改選前の88議席から躍進し、過半数に迫る。「新人民戦線」は180~200議席。与党連合は60~90議席で、現状の250議席から大幅に議席を減らす見通しだ。
ただし、第1回投票と決選投票で投票先を変える有権者も多く、今後の政党間協力などの影響も受けるため、結果は予断を許さない。マクロン大統領は各政党に、選挙協力を呼び掛けている。
大統領は通常、決選投票の結果を受け、第1党から首相を指名し、首相が閣僚を指名する。国民連合のバルデラ党首が首相に指名されれば、大統領と首相の政党が異なる「コアビタシオン」と呼ばれる状況が生まれる。マクロン大統領は、国民連合とウクライナ支援や欧州連合(EU)などを巡る多くの政策で意見が異なっており、政治が停滞する可能性が指摘されている。
マクロン大統領は6月9日、欧州議会選で与党連合が国民連合に大敗したことを受け、「反極右」を訴えて、解散総選挙に踏み切った。【パリ岡大介】
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