米連邦最高裁=ワシントンで6月1日、ロイター

 米連邦最高裁は28日、トランプ前大統領の支持者らが2021年1月6日に連邦議会を襲撃した事件で、司法省が起訴した数百人に適用した「公的手続きを妨害した罪」について、その根拠法の解釈はより限定的なものだとの判断を示し、さらなる審理をするよう下級審に差し戻した。

 この罪は、トランプ氏が起訴された四つの罪状にも含まれており、裁判に影響を与える可能性もある。

 裁判の被告は議会襲撃に加わった元警官で、公的手続きを妨害した罪など七つの罪状で起訴された。この罪は、01年に倒産した米エネルギー大手「エンロン」が巨額の不正経理などの書類を廃棄していたことが発覚したのを契機に制定された法律の一部に基づく。最高で禁錮20年の刑が科される。これが選挙結果を承認する議会を襲撃した行為に適用されるのかが争われた。

 最高裁の判断は6対3で決まった。ロバーツ長官は多数派意見で、司法省側の適用範囲に関する見解は法律の「最も妥当な理解に反して」おり、法律が生まれた背景と矛盾していると指摘。適用するためには「被告が公的手続きで使用される記録、文書、物品、その他の物の利用可能性または完全性を損なった、または損なおうとしたことを立証しなければならない」と判示した。そのうえで、起訴できるかどうかの審理を下級審に求めた。

 ガーランド司法長官は判決後、「失望している」との声明を発表した。同時に、議会襲撃事件を巡って起訴された被告らの大部分は今回の決定で影響を受けることはないと説明した。

 トランプ氏は、20年大統領選の結果を覆そうとしたとして、連邦法違反の罪で起訴されている。罪状は、国家を欺くために側近らと共謀▽選挙結果を承認する公的手続き妨害の共謀▽公的手続きの妨害▽有権者の投票権侵害の共謀――の四つ。トランプ氏は28日の判決後、自身のソーシャルメディアに「ビッグニュース!」と歓迎する投稿をした。【ワシントン西田進一郎】

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