ウクライナのゼレンスキー大統領=2024年6月13日、ロイター

 ウクライナのゼレンスキー大統領は26日、英語を国際コミュニケーションの中心言語と位置づける法案に署名した。官公庁や軍の役職での英語使用のほか、英語の映画上映についても規定する。欧米への統合を進めるウクライナは、国民の英語力を高める狙いだ。

 ソ連の一部だったウクライナではロシア語も多用されてきたが、2022年に始まったロシア軍の侵攻を機に見直しが進んでいる。

 ウクライナメディアによると、法律では地方行政機関の長、検察官、税務官などに一定の英語力を要求し、高い英語力のある公務員には給与を10%上積みすると規定する。ウクライナ軍が他国とコミュニケーションを取る際も英語を使う。子どもの英語力向上のため、幼稚園でも英語学習を義務づける。

 ウクライナ語字幕付きで上映される英語の映画上映に、政府から助成金が出るとの内容も盛り込まれた。ウクライナでは外国語の映画は吹き替えで上映するのが一般的だったが、より英語に触れる機会を増やす。

 「キーウ・インディペンデント」によると、当初案では「2027年までに全ての英語の映画を字幕上映とする」との条項があったが、「映画館に行く人が減りかねない」との理由で削除されたという。

 キーウ国際社会学研究所の昨年の調査では、英語の知識が多少あると答えたウクライナ人は回答者の51%で、日常的なレベルで読み書きと会話ができると答えた人は23%だった。【ベルリン五十嵐朋子】

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