米国旗(左)とロシア国旗

 米国のオースティン国防長官は25日、ロシアのベロウソフ国防相と電話協議した。両国は、ロシア軍のウクライナへの侵攻を巡って対立しており、国防相同士の電話協議は昨年3月以来1年3カ月ぶり。米国防総省によると、オースティン氏は双方が意思疎通を図ることの重要性を強調した。タス通信によると、ベロウソフ氏は米国によるウクライナへの兵器供与を批判した。

 ベロウソフ氏は5月に就任したばかりで、両氏の協議は今回が初めてとなる。米国防総省のライダー報道官は協議について、「オースティン氏は意思疎通の手段を維持する重要性を強調した」とだけ説明し、詳細への言及は避けた。

 一方、タス通信によると、両氏はウクライナ情勢に関して意見を交わした。ベロウソフ氏は、米国のウクライナへの兵器供与によって、事態がさらに激化する危険性を強調したという。

 米国は最近、ウクライナ支援の動きを強めている。米国が供与した兵器によるロシア領内への攻撃について容認に転じ、今月中旬にはウクライナと2国間の安全保障協定を結んだ。さらに、他国に引き渡す予定だった防空システム「パトリオット」や地対空ミサイルシステム「NASAMS」をウクライナに優先的に供与すると表明した。

 これに対してロシアは、5月に戦術核兵器の準備と使用を想定した演習を実施したほか、プーチン大統領が今月に北朝鮮を訪問して軍事面での協力を深めている。【ワシントン松井聡】

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