黒いスーツや帽子を身にまとう超正統派のユダヤ教徒=エルサレムのメア・シェアリーム地区で5月22日、松岡大地撮影

 イスラエルの最高裁は25日、宗教的な理由から建国以来、徴兵を免除されてきたユダヤ教超正統派の国民も徴兵するよう政府に命じる判決を言い渡した。パレスチナ自治区ガザ地区でイスラム組織ハマスとの戦闘が続く中、判決は「負担の不平等はかつてないほど深刻だ」と指摘した。イスラエルメディアが伝えた。

 イスラエルは国民皆兵で、ユダヤ教徒は男女とも18歳で徴兵される。その中で、ユダヤ教の戒律と伝統を厳格に守る超正統派の宗教学生は、例外的に徴兵義務を免除されてきた。しかし、ハマスとの戦闘で300人以上のイスラエル軍の兵士が犠牲になったり、要員不足の懸念が指摘されたりする中、世俗派の国民からは反発の声が上がっていた。

 判決を受けて、司法長官は軍に対して超正統派から3000人を徴兵するように命じた。対象者は6万3000人おり、負担を平等にするために今後、徴兵人数を増やしたい考えだ。ただ、連立政権に加わる二つの超正統派の政党は判決に反発しており、ネタニヤフ首相は難しい対応を迫られそうだ。

 超正統派は、ユダヤ教の教義を学ぶことを優先して仕事に就かない人も多く、国からの補助金に頼って暮らしている。その反面、出生率が高いため、国全体の人口の約13%を占め、2042年までに21%に達すると予測されている。【エルサレム松岡大地】

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