記者会見する国連のグテレス事務総長=米ニューヨークで2024年6月24日、八田浩輔撮影

 国連のグテレス事務総長は24日、オンラインでの偽情報やヘイトスピーチ拡散に対する緊急行動を呼びかけた。大手IT企業に向けて、自社サービスがもたらす悪影響の責任を負うよう訴え、有害コンテンツによる収益化の停止を要請した。各国政府には、表現や言論の自由を尊重しながら人権を守る規制を徹底するよう求めた。

 国連本部で記者会見したグテレス氏は、人権や民主主義、平和を守る基盤を強めるための「情報流通の健全性に関する国連グローバル原則」を公表した。「一部の利害関係者は大きな責任を負っている」と述べ、IT企業に対し、国や言語を問わず一貫した運営指針を適用し、女性や難民、マイノリティーなどオンラインで標的になりやすい集団には特に配慮をすべきだと強調。とりわけ選挙時には、情報流通の健全性を守るため、危機対応を強化すべきだと提言した。

 また人工知能(AI)が、誤情報や偽情報の脅威を加速させているとして、開発にかかわるすべての利害関係者は、人権が守られるよう透明性のある対策を即時に講じるべきだとした。

 グテレス氏は、パレスチナ自治区ガザでの戦闘などをめぐり、自身や国連に関する偽情報が広がり、人道支援活動に影響が生じているとも吐露。国連が世界各地の職員に実施した意識調査では、回答者の8割が「有害な情報」が、職員や任務を危険にさらすと考えていたという。【ニューヨーク八田浩輔】

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