シリーズ「現場から、」はG7サミットについて。侵攻を続けるロシアへの経済制裁の効果が見えにくいなか、サミットでは制裁として凍結されたロシアの資産を活用、新たなウクライナ支援に充てることで合意しました。ロシアは「必ず報復する」としています。

家族連れなどで賑わう、イタリア北西部・カラーラ。海水浴場のすぐ近くの港に“問題の船”がありました。

記者
「イタリア政府に差し押さえられた巨大なヨットがあちらに見えます。すでに2年ほど、こちらの港に係留されていますが、一部ではプーチン大統領のヨットだともいわれています」

全長140メートルの巨大豪華ヨット「シェヘラザード」。修理のため港に停泊していた2022年5月、ウクライナ侵攻を受けた対ロシア制裁の一環として、イタリア政府が差し押さえました。所有者は明らかにされていませんが、「プーチン大統領のヨット」という指摘もあります。

この日、カメラがとらえたのはデッキ上で掃除する人の姿。

現地メディアによると、去年12月時点で、イタリア政府が日本円でおよそ6億7000万円にのぼる維持・管理費を負担しているということで、地元の人は。

地元住民
「みんな知っていますよ。(維持費を)イタリアが払うなんてとんでもない。信じられませんよ」

2年前のウクライナ侵攻開始以降、欧米諸国を中心に広い範囲でロシアへの経済制裁が科されてきましたが、効果は限定的とされます。

今回のG7サミットでも、ウクライナ支援や制裁として凍結された3000億ドルにのぼるロシア中央銀行の資産をめぐり、議論されました。

合意された新たな支援策では、▼ウクライナに対し500億ドル規模の融資を行う新たな枠組みを創設するとし、▼返済には凍結されたロシアの資産の運用益を充て、ウクライナの負担をなくすとしています。

具体的な仕組みは今後、決められるということです。

アメリカ バイデン大統領
「凍結資金をウクライナのために使い、『我々は引き下がらない』というプーチンへの新たなメッセージでもある」

ウクライナ ゼレンスキー大統領
「ウクライナへの持続的な支援にきわめて重要な一歩です」

国際法上の問題も指摘されたなか、凍結資産の活用でG7が合意した背景には、“戦争の長期化”への懸念があると専門家は指摘します。

ジョージワシントン大学(ロシア・ウクライナ政治学) オータング教授
「現実的な終結のシナリオはロシアの経済破綻だろうが、残念ながら、すぐに実現することはないだろう」

凍結資産の活用について、ロシアは「犯罪的行為だ」と反発。「必ず報復措置をとる」としています。

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