シリーズ「現場から、」。G7サミットで重要議題のウクライナ支援ですが、議長国イタリアでは支援の在り方について変化を求める声が高まっています。
侵攻開始から2年4か月。先月以来、ロシア軍はウクライナ北東部ハルキウ州周辺での攻勢を強めています。
アメリカ バイデン大統領
「約束します。アメリカはウクライナに寄り添っています」
アメリカのバイデン大統領は、ウクライナに対してこれまで認めてこなかった供与した武器のロシア領内への使用を一部容認したほか、新たな軍事支援を発表。フランスのマクロン大統領も戦闘機の供与を発表するなど、欧米各国がウクライナへの一層の支援を表明しています。
その一方で、今年のG7議長国・イタリアでは。
記者
「ロシアによる侵攻開始から2年以上が経ち、ウクライナ支援の在り方にも変化を求める声が上がり始めています」
ローマにある創業80年の焼き菓子店。ありとあらゆるものが値上げとなり、負担が増しています。
焼き菓子店経営 イノチェンティさん
「(値上がりしたのは)小麦粉、砂糖、ピーナッツ、アーモンド、ヘーゼルナッツも」
店の大きなオーブンは焼き菓子づくりには欠かせませんが、ひと月のガス代は日本円で20万円以上と、2年前の倍近くに。
出口が見えない状況に、ウクライナ支援の方法がこれまでと同じで良いものかと考え始めています。
焼き菓子店経営 イノチェンティさん
「(ウクライナ人たちは)危険な状況にあるので助けが必要です。しかし、助けになるのはトップの人たちが和解することだと思います」
イタリアのメローニ首相は2月にウクライナを訪問し、支援継続を約束。国民からも人道や財政の支援については、依然、6割以上の支持を得ています。
しかし、「軍事支援」となると事情は変わります。
去年春は支持する人が多かったものの、秋には差が縮まり、今年4月には、ついに「支持しない」が逆転したのです。
市民
「武器供与のせいで我々の借金が増えるばかりだし、第三次世界大戦になるのが心配です」
「ウクライナはロシアのほうが強いということを受け入れ、領土の一部を与えて戦争を終わらせるべきだと思う」
こうした世論を背景に、与党内からも異論が出始めています。
イタリア 極右政党「同盟」 クラウディオ・ボルギ上院議員
「2年が経ち、この方法(武器支援)が機能しないことがはっきりしました」
連立政権の一角を担う極右政党は“ウクライナはいますぐロシアと和解のテーブルにつくべきだ”と公言しているのです。
イタリア 極右政党「同盟」 クラウディオ・ボルギ上院議員
「ウクライナがロシアに勝利するための条件が存在するかのように振る舞うのは非現実的です」
変化を求め始めたイタリアを舞台に行われるG7サミット。
きょう、ゼレンスキー大統領も参加し、支援継続を訴える予定です。
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