2024年5月に撮影された衛星画像。中央部右にあったフンボルト氷河は「氷原」とみなされるまでに縮小した=NASA提供

 南米ベネズエラに唯一残っていた最後の氷河が消滅した。地球温暖化を背景にこの数十年で融解が急速に進み、氷河と呼ぶには小さすぎる規模にまで縮小した。米航空宇宙局(NASA)が7日、衛星写真を公表した。世界の熱帯氷河の95%があるとされるアンデス地域で、ベネズエラは氷河を失った最初の国となった。

2015年4月に撮影されたベネズエラのフンボルト氷河(中央右の白い円形)=NASA提供

 消失したのは同国西部シエラネバダ山脈に位置する「フンボルト氷河」。NASAによると1910年には3平方キロメートルに広がっていたが、2015年には約0・1平方キロメートルまで後退。24年5月に撮影された最新の衛星画像では、さらにその10分の1近くまで縮小した。現在の規模では氷自身の重みによって流動するのに十分な質量がなく、「氷河」とは呼ばず「氷原」とみなされるという。

 赤道直下のベネズエラは国全体が熱帯に位置するが、標高5000メートル級の山を抱えるシエラネバダ山脈にかつて六つの氷河があった。ベネズエラ政府はフンボルト氷河をカバーで覆うなどの保護計画を発表していた。【ニューヨーク八田浩輔】

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