米国家安全保障会議(NSC)のプラネイ・バディ上級部長(軍備管理、軍縮・不拡散担当)は7日、敵対国の脅威が高まっているとして、数年内に核兵器の配備を拡大せざるを得ない局面になる可能性があるとの認識を示した。核による威嚇を繰り返すロシアや急速に核戦力を増強している中国に対する警告の意図があるとみられる。
バディ氏は軍備管理協会の年次総会で講演した。核開発を拡大し、多様化させるロシアや中国、北朝鮮、イランの動きに変化がなければ「米国は態勢と能力を調整し続ける必要がある」と指摘。今後数年のうちに「現在配備されている核兵器の数を増やす必要があるという結論に達するかもしれない」と語った。
さらに「もしその日が来るとすれば、敵対勢力を抑止し、米国民と同盟国やパートナーを守るためには、より多くの核兵器が必要だという判断の結果だ」とし、「敵対勢力が核兵器を増やしたから我々も増やすという単純な計算ではないだろう」と付け加えた。
米露間の新戦略兵器削減条約(新START)は2026年に期限切れを迎える。その先に関する交渉は、ロシアがウクライナに侵攻して以降は行われていない。ロシアのプーチン大統領は侵攻開始後、戦術核を使用する可能性に言及して威嚇を繰り返している。
中国も急速に核戦力の増強を進める。米国防総省は、23年5月時点で運用可能な核弾頭は500発超で、30年には1000発超に達するとみている。
バディ氏は「ロシアと中国は、軍備管理について議論することさえ真っ向から拒否しており、国際的な義務を果たしていない」などと批判した。【ワシントン西田進一郎】
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