「エルサレムの日」の行進に参加する右派のユダヤ人たち=エルサレム旧市街のダマスカス門前で6月5日、松岡大地撮影

 1967年の第3次中東戦争でイスラエルが東エルサレムを占領したことを記念する「エルサレムの日」の5日、同市中心部で右派のユダヤ人らがイスラエル国旗を掲げて練り歩いた。イスラエルメディアによると、一部の参加者は「アラブ人に死を」と叫びながらパレスチナ人や取材記者らに暴力を振るい、18人が逮捕された。

 右派ユダヤ人らの行進には数万人が参加した。東エルサレムにある旧市街のイスラム教徒地区を通り、ユダヤ教の聖地「嘆きの壁」に向かった。暴力を恐れて、イスラム教徒地区の店は軒並み休業。行進参加者の中には、こうした店のシャッターに、パレスチナに強硬的なベングビール国家治安相のステッカーを貼るなど挑発的な行動もみられた。

「エルサレムの日」のユダヤ人の行進で、一部の参加者は、イスラム教徒地区の店に極右政党党首のベングビール国家治安相のステッカーを貼った=エルサレム旧市街で6月5日、松岡大地撮影

 ヨルダン川西岸のユダヤ人入植地から家族で参加したツリエル・ベンダビッドさん(38)は「エルサレムがユダヤ人の元に戻ってきた日で、とても幸せだ」と語った。イスラエル軍が続けるパレスチナ自治区ガザ地区での戦闘については「(ガザを支配するイスラム組織の)ハマスを壊滅させ、ガザに入植地を建設しなければ」と主張した。

 この日の行進に対して、パレスチナ自治政府は「旧市街を通過する行進はアラブ人やイスラム教徒、キリスト教徒の感情に対する露骨な挑発だ」と反発。ハマスの指導者ハニヤ氏は「占領が終わり、エルサレムを首都とするパレスチナ国家が樹立されるまで、我々が休むことはない」とアピールした。

 エルサレムの日はユダヤ暦に基づき、西暦では毎年日付が移動する。2021年5月にはハマスがこの日にロケット弾を発射し、イスラエルが報復空爆した。11日間の大規模戦闘につながり、双方で計270人以上が死亡した。【エルサレム松岡大地】

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