ドジャース・大谷翔平選手の銀行口座から不正に送金した罪などに問われている元通訳の水原一平被告(39)は4日、ロサンゼルス近郊の連邦地方裁判所に出廷し、司法取引に基づいて有罪答弁を行いました。
黒のジャケットにTシャツ姿で現れた水原被告。今回も報道陣の問いかけには無言でした。廷内に入ると、せき払いをしたり、首を回したり、落ち着かない様子が見えました。
水原被告が問われているのは、2つの罪です。1つは、違法スポーツ賭博のため、大谷選手の口座から約26億円を不正に送金した銀行詐欺の罪。そして、もう1つが、虚偽の納税申告をした罪です。すでに司法取引に応じていて、この日は、罪を認める流れになっていました。
裁判官:「有罪答弁は自分の意思で決めたことですね?」
水原一平被告:「はい」
裁判官:「有罪答弁を受理すると、禁錮刑を含む量刑を検討することになります。そのことを理解していますか?」
水原一平被告:「はい」
裁判官:「それでも有罪答弁したいですか?」
水原一平被告:「はい」
裁判官:「自分の言葉で何をしたのか教えて下さい」
水原一平被告:「被害者A(大谷選手)のために働いていたので、彼の銀行口座にもアクセスできました。ギャンブルで多額の借金を背負い、思いついた唯一の方法が、彼のお金を使うことでした。ギャンブルのために彼の口座から送金しました」
そして、2つの罪について、有罪か無罪か問われると、いずれも「有罪です」と答えました。
冒頭で「真実のみを話す」と誓った水原被告。疑惑が浮上していた学歴についても語る結果となりました。
裁判官:「学校には何年通いましたか?」
水原一平被告:「13年です」
裁判官:「高校までということですか?」
水原一平被告:「はい。それから、少し大学(カレッジ)に通いました」
エンゼルスのメディアガイドによりますと、「カリフォルニア大学リバーサイド校卒業」というプロフィールです。しかし、大学には在籍記録がなく、今回、裁判で自ら学歴詐称を認めるかたちとなりました。
信頼していたパートナーの裏切りに、当初「睡眠が足りない日が続いた」とも語っていた大谷選手が声明を出しました。
大谷翔平選手の声明:「捜査が完了し、罪もすべて認められた今、私および家族にとっても、重要な終結を迎えることができました。これは、僕にとっても、非常に複雑で困難な時期でした。この事件に終止符を打ち、前に進む時期が来たと思っています」
ドジャースの声明:「ドジャースは、翔平とチームがこの問題をすべて過去のものとし、ワールドシリーズ制覇に向けて前進できることを喜んでいる」
MLB:「徹底した連邦捜査、MLBが入手した情報、刑事訴訟が争われることなく解決されたことに基づき、MLBは大谷選手を詐欺の被害者とみなす。この一件は解決した」
ドジャース・ロバーツ監督:「状況を考えると、終わりに近づけた。当局は素晴らしい仕事をしたと思う。翔平は素晴らしかった。この件で集中できなくなる危険もあったが、翔平は割り切って、野球だけに集中していた。素晴らしかった」
捜査を進めてきた検察は「大谷選手は被害者」と、改めて強調しました。
エストラーダ連邦検事:「詐欺行為は1人の被害者、つまり大谷翔平氏が対象でした。水原被告は、自らの歯の治療代すら、大谷氏からだまし取っていました。今回の罪の程度を考えれば、禁錮刑を求めることにはなるでしょう。国外追放と日本への強制送還も十分にありえます。刑期を全うしたあと、国外退去となります」
判決は10月25日に言い渡されます。
●量刑は、どれぐらいになりそうなのでしょうか。
2つの罪で最大33年の禁錮刑が科されますが、水原被告が初犯であることや、事前に司法取引に応じていて、刑が軽くなることなどから、弁護側と検察側で、量刑が4年9カ月〜5年11カ月の範囲であれば、互いに控訴しないことで合意しています。
ただ、今回の有罪答弁で、水原被告は裁判官に「判決は弁護士の予測と異なる可能性があり、(量刑が)より重い場合もある。理解していますか」と聞かれ、「はい」と答えました。
この裁判官の説明について、カリフォルニア州の弁護士資格を
持つ村尾卓哉弁護士は「裁判官は、司法取引の内容も含めて考慮するが、それに拘束されることはなく、総合的な判断で量刑を決める」としています。
今後、保護観察官が水原被告についてさまざまな調査を行い、報告書にまとめて裁判所に提出します。その報告書の内容も、裁判官の総合的な判断に含まれます。
(C) CABLE NEWS NETWORK 2024
▶「報道ステーション」公式ホームページ
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。