トランプ前大統領の不倫口止め疑惑に絡む事件で、米ニューヨーク州地裁の陪審は5月30日、トランプ氏に有罪の評決を下した。刑事事件で、大統領経験者への有罪評決は史上初。トランプ氏は2016年の大統領選の前後に、不倫相手へ支払った口止め料について、小切手、帳簿、請求書34点に弁護士費用と虚偽記載し、選挙戦に不利な情報を隠したとして、起訴されていた。「不倫口止め裁判」は、市民から成る12人の陪審員が評決にあたり、34件の罪状に対して全てを有罪とした。米紙ニューヨークタイムズによると、量刑は7月11日に言い渡される予定で、最長で4年程度の禁固刑の可能性が指摘されている。
米ABCニュースによると、トランプ氏に有罪評決を下した陪審員は、ニューヨーク・マンハッタンに住む18歳以上の12人。営業職、企業弁護士、英語教師、理学療法士など様々な職業を持つ男性7人、女性5人、計12人で陪審員が構成されていた。陪審長を務めたのは、アイルランド出身の営業職の男性で、トランプ氏の他の刑事事件に関する質問に対して、同氏は「いくつかは聞いたことがある」と答えた。評決には12人全員の一致が必要だった。
有罪評決を受けたトランプ前米大統領は5月31日、ニューヨーク・トランプタワーでの記者会見で、「評決は不当だ。これはバイデンとその仲間によって仕組まれたことだ。これは詐欺だ」と批判し、控訴する方針を明らかにした。11月の大統領選でトランプ氏と再対決するバイデン大統領は、「評決が気に入らないからといって、不正だと言うのは無謀であり、危険で、無責任だ」とトランプ氏の対応を非難した。トランプ氏の34件すべての罪状で有罪評決が下った後、共和党を支持する大口の献金者が多額の寄付を表明した。ホテル経営のロバート・ビゲロー氏は、これまで900万ドル(約14億1500万円)を献金していたが、さらに、500万ドル(7億8500万円)を追加で寄付することを明らかにした。
民主党のバイデン大統領と共和党のトランプ前大統領が争う選挙戦は、18歳から29歳という若い世代の動向が勝敗を左右すると見られる。前回の2020年の大統領選では、僅差でバイデン氏が勝利した理由に、若い世代の支持が背景にあると指摘されている。前回の大統領選の出口調査では、18歳から29歳という若い世代の約60%がバイデン氏に投票、トランプ氏は36%に留まった。パレスチナ自治区ガザへの軍事行動を進めるイスラエルと長年、関係を築いてきた米国世論に変化の兆しが現れる。米国の対応によっては、バイデン氏が若者の支持を失う可能性があるのが「ガザ問題」だ。イスラエルは5月27日、ガザ地区南部ラファの避難民のキャンプ空爆を行い、45人が死亡した。イスラエルのネタニヤフ首相は同日、「悲劇的な過ちが起きた」と誤爆だったと釈明した。5月29日、イスラエル軍は、ラファと接するエジプトとの境界地帯の全域を掌握したと発表した。バイデン大統領は5月9日、イスラエルに対して、「もしも彼らがラファに踏み込めば、これまでに使われてきた武器を供与するつもりはない」と、武器供与の停止を警告していた。カービー大統領補佐官は5月28日、「ラファでの大規模な作戦が正当化されるとは考えていない。現時点ではまだそのような状態になっていない」と説明し、「イスラエルの一連の攻撃はレッドラインを超えるものではない」と強調した。
★ゲスト:前嶋和弘(上智大学教授)、峯村健司(キヤノングローバル戦略研究所主任研究員)
★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)
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